2010年 03月 29日
言論統制 |
中国のギョウザ毒入り事件の犯人が、漸く捕まったとのニュースがあった。日本では一時大騒ぎしたが、その後時間が経ち、関係者以外では忘れかけていた。中国は当初、自国の瑕疵を否定していたが、国内でも犠牲者が出たこともあって、本気になって捜査を続けていた模様だ。
犯行の動機は、日本をターゲットにしたのではなく、職場環境や待遇に対する不満が背景にあったようだ。犯行に使った注射器まで発見、押収したというから、物的証拠もある。犯人の割り出しには時間が掛かったが、特定するまでに漕ぎ着けたのは評価すべきかもしれない。
中国は、この事件を「日中問題」としてではなく、「国内問題」として幕引きを図ろうとしている。今後、日本の捜査当局からのヒアリングもあり、さらなる真相が解明されるであろう。それにしても、中国がこれでもってまともな国になったと見るのは間違いだ。
犯人逮捕の報道は、国営の新華社通信によって明らかにされた。中国のメディアは、新華社の配信をそのまま小さく掲載、あるいは無視したものがほとんどだ。国内的に事件の影響を抑えようとしているのは見え見えだ。ギョウザ事件は日本の食生活にかなりのショックを与えたが、中国にとっては「毒」の問題よりは、国内の労働条件などが赤裸々になる方が怖い。これが切っ掛けになり、内在する「格差」問題に火が点く可能性があるからだ。
中国に限らず、同種の独裁国家の特徴は、都合の悪いことはひたすら隠蔽することだ。百パーセント追い込まれないと非を認めない体質を持っている。今回、公表せざるを得なかったのは、いつまでも日中間で「喉に掛かった骨」になって、他の外交問題に影響を与えかねないと判断したためだ。
米国の検索大手のグーグルが、中国からの撤退を決めた。ドメイン業者のゴーダディーもこれに続いた動きを示した。公序良俗に反したり、国際的脱法行為なら別だが、自由主義国家の常識とはかけ離れた基準を中国は適用している。両社は、手足を過度に縛られたまま業務を展開するのは無理だと判断したものだ。
朝日新聞は先に、中国がこれらに関連して18分野の報道禁止措置を取ったと報じた。その内容は、人民元の切り上げ、官僚の腐敗、食品の安全、新彊・ウイグル・チベット問題、貧富の格差など、中国社会、経済の恥部に関するテーマが羅列されている。これらの分野については、メディアが勝手に報道したり、独自に取材するのを禁止。新華社の官製報道のみを使えというものだ。
もちろん、ニュースだけではない。論評も、共産党や政府の「正当性」を主張するものに限定するとしている。自由で民主主義の国家では、メディアの役割は権力を牽制することが使命だ。これがなくなれば、国の体制が歪んでしまう。もっとも、どこかの政権政党もそれに近いものになりつつあるが、他山の石にすべきであろう。
世間では、中国の台頭を評価する声が強まりつつある。中国は軍事と格差、それに人口だけは一流だが、社会制度や政治は3流以下である。中国がさらなる発展を続けるには、いつか「一党独裁」に決別、「民主化」に挑戦せざるを得なくなる時期が来るであろう。中国が内部に構造的波乱要因を持っている限り、大した国ではない。
犯行の動機は、日本をターゲットにしたのではなく、職場環境や待遇に対する不満が背景にあったようだ。犯行に使った注射器まで発見、押収したというから、物的証拠もある。犯人の割り出しには時間が掛かったが、特定するまでに漕ぎ着けたのは評価すべきかもしれない。
中国は、この事件を「日中問題」としてではなく、「国内問題」として幕引きを図ろうとしている。今後、日本の捜査当局からのヒアリングもあり、さらなる真相が解明されるであろう。それにしても、中国がこれでもってまともな国になったと見るのは間違いだ。
犯人逮捕の報道は、国営の新華社通信によって明らかにされた。中国のメディアは、新華社の配信をそのまま小さく掲載、あるいは無視したものがほとんどだ。国内的に事件の影響を抑えようとしているのは見え見えだ。ギョウザ事件は日本の食生活にかなりのショックを与えたが、中国にとっては「毒」の問題よりは、国内の労働条件などが赤裸々になる方が怖い。これが切っ掛けになり、内在する「格差」問題に火が点く可能性があるからだ。
中国に限らず、同種の独裁国家の特徴は、都合の悪いことはひたすら隠蔽することだ。百パーセント追い込まれないと非を認めない体質を持っている。今回、公表せざるを得なかったのは、いつまでも日中間で「喉に掛かった骨」になって、他の外交問題に影響を与えかねないと判断したためだ。
米国の検索大手のグーグルが、中国からの撤退を決めた。ドメイン業者のゴーダディーもこれに続いた動きを示した。公序良俗に反したり、国際的脱法行為なら別だが、自由主義国家の常識とはかけ離れた基準を中国は適用している。両社は、手足を過度に縛られたまま業務を展開するのは無理だと判断したものだ。
朝日新聞は先に、中国がこれらに関連して18分野の報道禁止措置を取ったと報じた。その内容は、人民元の切り上げ、官僚の腐敗、食品の安全、新彊・ウイグル・チベット問題、貧富の格差など、中国社会、経済の恥部に関するテーマが羅列されている。これらの分野については、メディアが勝手に報道したり、独自に取材するのを禁止。新華社の官製報道のみを使えというものだ。
もちろん、ニュースだけではない。論評も、共産党や政府の「正当性」を主張するものに限定するとしている。自由で民主主義の国家では、メディアの役割は権力を牽制することが使命だ。これがなくなれば、国の体制が歪んでしまう。もっとも、どこかの政権政党もそれに近いものになりつつあるが、他山の石にすべきであろう。
世間では、中国の台頭を評価する声が強まりつつある。中国は軍事と格差、それに人口だけは一流だが、社会制度や政治は3流以下である。中国がさらなる発展を続けるには、いつか「一党独裁」に決別、「民主化」に挑戦せざるを得なくなる時期が来るであろう。中国が内部に構造的波乱要因を持っている限り、大した国ではない。
by everyoung
| 2010-03-29 10:16
| 言いたい放題
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