2010年 10月 15日
技術と安全 |
チリの地下銅鉱山の落盤事故で閉じ込められていた作業員が、全員無事に救出された。世界中のメディアが救出劇を中継。いろいろな話題を提供した。当初の予想をかなり上回るピッチで作業が進み、救出された作業員の健康状態も特に問題はなく、まずはメデタメデタの決着であった。
ワガハイは、この事件で二つのことに関心を持った。一つは穴掘り技術である。詳しいことはわからないが、石油の掘削技術が使われたようだ。これが思いのほか順調で、「クリスマス前にも」と言われていたのが、2ヶ月近くも短縮された。
日本には「上総掘り」というのがある。深井戸工法の一種で、地下何百米も掘り進み、水やガス、石油、温泉などを掘り当てる。江戸時代後期に、現在の君津市周辺で開発された伝統技術だ。インドでは技術解説書まで発刊されたほか、水不足に悩むアジア、アフリカなど世界中に広く普及した。日本は穴掘りの先進国である。
トンネル掘削でも日本は世界一の技術を誇っている。一般にはシールド工法が使われている。昔はダイナマイトで岩盤を崩しながら、人海戦術で穴を掘り進んだ。現在は、先端に歯の付いた円盤を回転させながら掘り進み、土砂を自動的に後方に排出。同時に、トンネルの内側にセグメントを張り付ける作業をする。反対側からも同じ作業をするために貫通の時間は大幅に短縮。貫通とほぼ同時に、トンネルも完成する仕組みである。
リニアモーターを利用した新幹線が、南アルプスをぶち抜く直線ルートに傾斜しているのは、こうした技術の集積が背景にある。最近では山を崩して鉄道や道路を造るより、トンネル方式の方が安上がりとなっている。残念ながらチリの事件では、日本の技術は役に立たなかった。地球の反対側で資材の運び込みに時間が掛かることなどが障害となった。
もう一つの点は、安全対策である。救出劇だけが脚光を浴びているが、そもそもは事故がなぜ起こり、救出が即できなかったかだ。坑内の落盤事故は、坑道の安全基準を厳しく設けていれば防げたかもしれない。資源ブームに飛びついて、安易に事業展開したツケが回って来たといえる。
仮に落盤事故が発生しても、作業員の脱出ルートがあれば問題はない。縦横斜めに坑道をいくつも設け、「迷路」にしておけば、どこかが遮断されても逃げ出すことは可能である。採掘のコスト軽減のために、事業者はこれを怠っていた。人命を犠牲にして経済合理性だけを求めるから、今回のような事件が起きるのだ。
ワガハイは、この事件で二つのことに関心を持った。一つは穴掘り技術である。詳しいことはわからないが、石油の掘削技術が使われたようだ。これが思いのほか順調で、「クリスマス前にも」と言われていたのが、2ヶ月近くも短縮された。
日本には「上総掘り」というのがある。深井戸工法の一種で、地下何百米も掘り進み、水やガス、石油、温泉などを掘り当てる。江戸時代後期に、現在の君津市周辺で開発された伝統技術だ。インドでは技術解説書まで発刊されたほか、水不足に悩むアジア、アフリカなど世界中に広く普及した。日本は穴掘りの先進国である。
トンネル掘削でも日本は世界一の技術を誇っている。一般にはシールド工法が使われている。昔はダイナマイトで岩盤を崩しながら、人海戦術で穴を掘り進んだ。現在は、先端に歯の付いた円盤を回転させながら掘り進み、土砂を自動的に後方に排出。同時に、トンネルの内側にセグメントを張り付ける作業をする。反対側からも同じ作業をするために貫通の時間は大幅に短縮。貫通とほぼ同時に、トンネルも完成する仕組みである。
リニアモーターを利用した新幹線が、南アルプスをぶち抜く直線ルートに傾斜しているのは、こうした技術の集積が背景にある。最近では山を崩して鉄道や道路を造るより、トンネル方式の方が安上がりとなっている。残念ながらチリの事件では、日本の技術は役に立たなかった。地球の反対側で資材の運び込みに時間が掛かることなどが障害となった。
もう一つの点は、安全対策である。救出劇だけが脚光を浴びているが、そもそもは事故がなぜ起こり、救出が即できなかったかだ。坑内の落盤事故は、坑道の安全基準を厳しく設けていれば防げたかもしれない。資源ブームに飛びついて、安易に事業展開したツケが回って来たといえる。
仮に落盤事故が発生しても、作業員の脱出ルートがあれば問題はない。縦横斜めに坑道をいくつも設け、「迷路」にしておけば、どこかが遮断されても逃げ出すことは可能である。採掘のコスト軽減のために、事業者はこれを怠っていた。人命を犠牲にして経済合理性だけを求めるから、今回のような事件が起きるのだ。
by everyoung
| 2010-10-15 10:14
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