2011年 12月 03日
機、熟さず |
先日の党首討論の一部始終は聞き逃したが、後でテレビや新聞のつまみ食い報道を見る限り、予想通り低次元の論戦に終わった。党首であるなら、天下国家の非常時にどう対処するかについて、もっと大所高所からの見解を披瀝すべきだろう。
野田佳彦首相は、相変わらずののらりくらいで、野党側の歩み寄りを求める姿勢を通した。野党第一党の谷垣禎一自民党党首は今いち攻め手を欠き、双方の応酬は精彩のないものだった。とても首相をやり込めたとの感じはなく、勝負としては6対4で首相側の「勝ち」との印象を受けた。
今、焦点となっているのはいくつかあるが、その中で注目されるものには、税と社会保障、TPP(環太平洋経済連携協定)、沖縄基地問題などがある。税と社会保障については、税論議が先行。社会保障をどう見直していくかについては不透明な部分が多い。
谷垣氏は、消費税引き上げに反対していた民主党の翻意を、公約違反として取り上げ、法案提出前の解散・総選挙を求めている。筋論としては当然だが、早期の解散・総選挙を国民が受け入れる状況にはないことは明らかだ。自民党とて、消費税引き上げは党の方針として打ち出している立場だ。仮に解散・総選挙となっても、消費税だけでは対立軸とならない。
TPPは、民自とも内部に反対勢力を抱えている。いずれも党として一本化できない状況にある。民主党側の反対急先鋒は小沢一郎元代表一派で、これをどう説得するかが今後の焦点だ。自民党は野にありながら、内部で賛否両論が沸騰。反対党として旗幟鮮明にできない状況は民主党と同じだ。
沖縄については、自公政権でまとまりかけていたのをブチ壊してしまったのは民主党だ。特に首長に反対勢力を擁立した経緯がある。自らが招いた混乱を今になって収拾しようとしても、相当の時間やエネルギーが掛かる。これはいつでも追及できるテーマだ。
自民党が、コトあるごとに早期の解散・総選挙を持ち出すことは戦略としては理解できるが、現実的ではない。自民党とて支持率が高いわけではない。仮に政権を奪取しても、参院の勢力分野が変わることはない。今の民主党と同じ立場を引き受けるだけで、安定政権は望めない。
では、自民党はどうすればよいか。少なくとも消費税やTPPについては、基本的な考え方では民主党執行部と協調した方がよい。国家的なテーマであり、党派を超えて方向づけをすべきだ。解散・総選挙の時期でないとすれば、ここは国家の非常時を優先し、反転の機が熟すのを待つことだ。場合によっては与党内が先に分裂する可能性もある。
野党は、争点となるべき案件と、そうでないものとは分けて対応した方がよい。対立点はいくらでもある。消費税でも具体論に入れば、逆進性の問題や、幅、時期など。社会保障では、数え切れないくらい詰めなければならない難問がある。TPPにしても、今は入り口の問題である。ここで賛成に回っても、今後の条件次第では山ほどの攻撃材料が待ち構えている。
重要なのは、現時点で譲歩した後、どこの段階で攻勢に転じ、民主党の支持率をさらに下げることができるかだ。下手をすれば、果実だけを民主党が奪うことになりかねない。自民党にとって理想は、限りなく参院選に近づけて解散・総選挙に追い込むことだ。自民党が、そのシナリオを冷静に描ければ、次の政権奪回に期待できるかもしれない。
野田佳彦首相は、相変わらずののらりくらいで、野党側の歩み寄りを求める姿勢を通した。野党第一党の谷垣禎一自民党党首は今いち攻め手を欠き、双方の応酬は精彩のないものだった。とても首相をやり込めたとの感じはなく、勝負としては6対4で首相側の「勝ち」との印象を受けた。
今、焦点となっているのはいくつかあるが、その中で注目されるものには、税と社会保障、TPP(環太平洋経済連携協定)、沖縄基地問題などがある。税と社会保障については、税論議が先行。社会保障をどう見直していくかについては不透明な部分が多い。
谷垣氏は、消費税引き上げに反対していた民主党の翻意を、公約違反として取り上げ、法案提出前の解散・総選挙を求めている。筋論としては当然だが、早期の解散・総選挙を国民が受け入れる状況にはないことは明らかだ。自民党とて、消費税引き上げは党の方針として打ち出している立場だ。仮に解散・総選挙となっても、消費税だけでは対立軸とならない。
TPPは、民自とも内部に反対勢力を抱えている。いずれも党として一本化できない状況にある。民主党側の反対急先鋒は小沢一郎元代表一派で、これをどう説得するかが今後の焦点だ。自民党は野にありながら、内部で賛否両論が沸騰。反対党として旗幟鮮明にできない状況は民主党と同じだ。
沖縄については、自公政権でまとまりかけていたのをブチ壊してしまったのは民主党だ。特に首長に反対勢力を擁立した経緯がある。自らが招いた混乱を今になって収拾しようとしても、相当の時間やエネルギーが掛かる。これはいつでも追及できるテーマだ。
自民党が、コトあるごとに早期の解散・総選挙を持ち出すことは戦略としては理解できるが、現実的ではない。自民党とて支持率が高いわけではない。仮に政権を奪取しても、参院の勢力分野が変わることはない。今の民主党と同じ立場を引き受けるだけで、安定政権は望めない。
では、自民党はどうすればよいか。少なくとも消費税やTPPについては、基本的な考え方では民主党執行部と協調した方がよい。国家的なテーマであり、党派を超えて方向づけをすべきだ。解散・総選挙の時期でないとすれば、ここは国家の非常時を優先し、反転の機が熟すのを待つことだ。場合によっては与党内が先に分裂する可能性もある。
野党は、争点となるべき案件と、そうでないものとは分けて対応した方がよい。対立点はいくらでもある。消費税でも具体論に入れば、逆進性の問題や、幅、時期など。社会保障では、数え切れないくらい詰めなければならない難問がある。TPPにしても、今は入り口の問題である。ここで賛成に回っても、今後の条件次第では山ほどの攻撃材料が待ち構えている。
重要なのは、現時点で譲歩した後、どこの段階で攻勢に転じ、民主党の支持率をさらに下げることができるかだ。下手をすれば、果実だけを民主党が奪うことになりかねない。自民党にとって理想は、限りなく参院選に近づけて解散・総選挙に追い込むことだ。自民党が、そのシナリオを冷静に描ければ、次の政権奪回に期待できるかもしれない。
by everyoung
| 2011-12-03 11:35
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