2012年 07月 02日
食文化の違い |
牛のレバー刺しが今月から禁止された。生レバーにある腸管出血性大腸菌(O150)による食中毒を警戒したためだ。禁止を前に、レバー刺しファンが名残を惜しんだ。本来は、何を食おうが自己責任の問題であり、行政が食文化まで介入するのはおかしい。事件が発生した場合の行政への責任転嫁を恐れたためだ。
切っ掛けは昨年の「ユッケ事件」だ。5人もの死者が出た。食中毒防止として規制を強めたが、生レバーについては「ユッケ」より5倍も件数が多いことが判明。一気に提供や販売を禁止することにした。違反者には200万円以下か、2年以下の懲役が科せられる。この種の措置としては、罪はかなり重い。
O150は、一定の条件で加熱処理すれば死滅する。そうすれば危険性は防止できるが、「生」ではなくなる。冷凍処理したり、「生」の状態でも菌を殺せる方法なども研究されている。今のことろは禁止するしかないが、将来有効な殺菌方法が見付かれば、禁止は見直すことになっている。
日本でのレバー刺しと同時に話題となったのが、米国・カリフォルニア州のフォアグラに対する禁止措置だ。レバー刺しはいつごろから日本人の食生活に入ったのかは分からないが、フォアグラは古代ローマ時代からの食材で、世界の三大珍味として有名。
フォアグラは、カモやダチョウに強制的にエサを与え、肝臓に脂肪を蓄積させてつくり上げるものだ。カリフォルニア州では、動物虐待に当たるとして2004年に生産や販売を禁止する法律が制定されたが、8年も経って漸く施行された。同じ米国でもシカゴでは、いったん禁止法が施行されたが、後で廃止された経緯もある。
ヨーロッパの多くの国では、動物虐待法の観点から強制給餌自体を禁止したり、フォアグラの国内生産を止めているところが多い。フォアグラ料理で有名なのはフランスだ。同国は例外で、今でも世界のフォアグラ生産のほとんどを担っている。
日本の禁止措置は、主に食の安全に配慮した結果だ。欧米でも、食中毒に対応する措置を講じるのは当然だが、動物虐待との関係を殊更重視する傾向がある。捕鯨の例でも見られるように、人間側の勝手な都合で、時に動物虐待を持ち出し、時に食文化の重要性を唱える。
強制的に給餌するのは、動物にとってかわいそうだ、というのが今回の禁止措置の背景にある。人間は、人間側の論理で動物を殺して食っている。通常、動物は肉片として売られている。動物が屠殺、解体される場面には立ち会わない。動物ではなく、単なる食材としてお目に掛かるケースがほとんどだ。フランスなどで子豚の丸焼きが、料理として出て来ると初めはびっくりする。
カモやダチョウの口を無理矢理に開けさせてエサを押し込む行為は、確かに「残酷」に見える。食用動物は、その程度に若干の差はあるものの、ほとんどが強制給餌である。人間にとって食用動物は、植物性蛋白を動物性蛋白に変換する「道具」に過ぎない。
牛の場合、グレインフェッドというのがある。トウモロコシなどの穀物を大量に与えて脂肪を付けるやり方だ。刺しが入り旨味が増す。これに対し、グラスフェッドは、草地で放牧して育てる。肉が堅くて日本人にはあまり好まれない。鶏や豚も同様で、人間に美味く食べられることを目的に飼われている。ワガハイには、フォアグラの扱いと大差ないように見える。
切っ掛けは昨年の「ユッケ事件」だ。5人もの死者が出た。食中毒防止として規制を強めたが、生レバーについては「ユッケ」より5倍も件数が多いことが判明。一気に提供や販売を禁止することにした。違反者には200万円以下か、2年以下の懲役が科せられる。この種の措置としては、罪はかなり重い。
O150は、一定の条件で加熱処理すれば死滅する。そうすれば危険性は防止できるが、「生」ではなくなる。冷凍処理したり、「生」の状態でも菌を殺せる方法なども研究されている。今のことろは禁止するしかないが、将来有効な殺菌方法が見付かれば、禁止は見直すことになっている。
日本でのレバー刺しと同時に話題となったのが、米国・カリフォルニア州のフォアグラに対する禁止措置だ。レバー刺しはいつごろから日本人の食生活に入ったのかは分からないが、フォアグラは古代ローマ時代からの食材で、世界の三大珍味として有名。
フォアグラは、カモやダチョウに強制的にエサを与え、肝臓に脂肪を蓄積させてつくり上げるものだ。カリフォルニア州では、動物虐待に当たるとして2004年に生産や販売を禁止する法律が制定されたが、8年も経って漸く施行された。同じ米国でもシカゴでは、いったん禁止法が施行されたが、後で廃止された経緯もある。
ヨーロッパの多くの国では、動物虐待法の観点から強制給餌自体を禁止したり、フォアグラの国内生産を止めているところが多い。フォアグラ料理で有名なのはフランスだ。同国は例外で、今でも世界のフォアグラ生産のほとんどを担っている。
日本の禁止措置は、主に食の安全に配慮した結果だ。欧米でも、食中毒に対応する措置を講じるのは当然だが、動物虐待との関係を殊更重視する傾向がある。捕鯨の例でも見られるように、人間側の勝手な都合で、時に動物虐待を持ち出し、時に食文化の重要性を唱える。
強制的に給餌するのは、動物にとってかわいそうだ、というのが今回の禁止措置の背景にある。人間は、人間側の論理で動物を殺して食っている。通常、動物は肉片として売られている。動物が屠殺、解体される場面には立ち会わない。動物ではなく、単なる食材としてお目に掛かるケースがほとんどだ。フランスなどで子豚の丸焼きが、料理として出て来ると初めはびっくりする。
カモやダチョウの口を無理矢理に開けさせてエサを押し込む行為は、確かに「残酷」に見える。食用動物は、その程度に若干の差はあるものの、ほとんどが強制給餌である。人間にとって食用動物は、植物性蛋白を動物性蛋白に変換する「道具」に過ぎない。
牛の場合、グレインフェッドというのがある。トウモロコシなどの穀物を大量に与えて脂肪を付けるやり方だ。刺しが入り旨味が増す。これに対し、グラスフェッドは、草地で放牧して育てる。肉が堅くて日本人にはあまり好まれない。鶏や豚も同様で、人間に美味く食べられることを目的に飼われている。ワガハイには、フォアグラの扱いと大差ないように見える。
by everyoung
| 2012-07-02 11:54
| 言いたい放題
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