2013年 01月 21日
防護態勢に疑問 |
アルジェリアの天然ガス施設で起きた人質事件は、日本人10人を含めた17人の安否がまだ確認されていない。砂漠のど真ん中にある施設で、近づくことさえ容易ではない。テログループが、施設に何を仕掛けているのかも分からない。全容判明に時間が掛かるのはやむを得ない。
国際テロ組織であるアルカイダと繋がるイスラム過激派の仕業との見方が強い。アルジェリア政府軍は、自国の判断で救出作戦を展開し、多くの犠牲者を出した。日米英などから批判が強いが、人質救出よりは武装集団の壊滅を優先した結果だ。
1971年のダッカ日航機ハイジャック事件で、福田赳夫首相(当時)は「人の命は地球より重い」として超法規的措置を採り、赤軍メンバーを釈放し600万ドルもの身代金を支払った。人質は解放されたが、国際世論からは叩かれた。犯人の要求に屈して悪の連鎖を招く結果になったからだ。
その後、橋本龍太郎政権下で発生した「ペルー日本大使公邸人質事件」では、テロに屈しない姿勢を示し、特殊部隊を投入して救出に成功した。小泉純一郎政権下でも、イラクでの自衛隊撤退を求めた拉致事件があったが、宗教団体の仲介が奏功して全員保護、コトなきを得た。
犯人側の要求が明確な場合は、対処の仕方もある。今回は「交渉の余地はない」との判断があった模様だ。アルジェリアは、130年にも及ぶフランスの支配から独立したが、その後も内戦が続いている。最近では、周辺国から反政府支援のテロエリスや武器弾薬の大量流入などもあり、国情は混沌を極めていた。
動乱の要因はいくつかある。イデオロギーの違いの他、民族紛争、宗派抗争、領土問題、貧富格差、資源争奪などだ。これらが複雑に絡み、そこに国際テロリストが介在する余地を与える。アルジェリアの場合も例外ではない。
アフリカは天然資源の宝庫だ。アルジェリアも天然ガスや石油などで1、2を争う資源国家である。政府も、その開発に力を入れている。自国の能力には限界があるため、関係国の協力を得て進めている。富のほとんどは、一部の権力者と海外の利権者に流れ、国民生活は行き詰まっているのが現状だ。
天然ガス施設は、アルジェリア政府にとっては「死活」が掛かっている。これを破壊されることは、政府の威信を大きく傷つけ、さらなる政情不安を誘発する恐れがある。少々の犠牲を払っても、断固たる対応をせざるを得なかったものと推測される。
それだけ重要な施設なら、なぜ防護態勢をもっと厳重にしなかったのか疑問だ。事件の発生現場は街や住宅街ではない。施設は、砂漠の軍事警戒内にあったとはいえ、易々と武装勢力の侵入を許している。厳戒ラインが甘かったことは否定できない。銃や弾薬を持った武装集団が、大挙して襲うことを予想してなかったとすれば、お粗末である。
人質事件は、発生してから対応するのは極めて難しい。事前の策が大事だ。あの程度の警護隊ではイザと言う時に役には立たない。警戒ラインのどこかで不穏な動きを察知すれば、即、情報が伝わり、政府軍の派遣が可能となる仕組みが必要だ。
内部に協力者がいたとの説もあるが、基本的には、施設で働く労働者は徒手空拳である。企業や現地政府など雇う側が、危機管理網を二重三重に張り巡らせる必要がある。加えて、テロに狙われる素地があることを前提に、安全対策をもっと強化しておくべきだ。
国際テロ組織であるアルカイダと繋がるイスラム過激派の仕業との見方が強い。アルジェリア政府軍は、自国の判断で救出作戦を展開し、多くの犠牲者を出した。日米英などから批判が強いが、人質救出よりは武装集団の壊滅を優先した結果だ。
1971年のダッカ日航機ハイジャック事件で、福田赳夫首相(当時)は「人の命は地球より重い」として超法規的措置を採り、赤軍メンバーを釈放し600万ドルもの身代金を支払った。人質は解放されたが、国際世論からは叩かれた。犯人の要求に屈して悪の連鎖を招く結果になったからだ。
その後、橋本龍太郎政権下で発生した「ペルー日本大使公邸人質事件」では、テロに屈しない姿勢を示し、特殊部隊を投入して救出に成功した。小泉純一郎政権下でも、イラクでの自衛隊撤退を求めた拉致事件があったが、宗教団体の仲介が奏功して全員保護、コトなきを得た。
犯人側の要求が明確な場合は、対処の仕方もある。今回は「交渉の余地はない」との判断があった模様だ。アルジェリアは、130年にも及ぶフランスの支配から独立したが、その後も内戦が続いている。最近では、周辺国から反政府支援のテロエリスや武器弾薬の大量流入などもあり、国情は混沌を極めていた。
動乱の要因はいくつかある。イデオロギーの違いの他、民族紛争、宗派抗争、領土問題、貧富格差、資源争奪などだ。これらが複雑に絡み、そこに国際テロリストが介在する余地を与える。アルジェリアの場合も例外ではない。
アフリカは天然資源の宝庫だ。アルジェリアも天然ガスや石油などで1、2を争う資源国家である。政府も、その開発に力を入れている。自国の能力には限界があるため、関係国の協力を得て進めている。富のほとんどは、一部の権力者と海外の利権者に流れ、国民生活は行き詰まっているのが現状だ。
天然ガス施設は、アルジェリア政府にとっては「死活」が掛かっている。これを破壊されることは、政府の威信を大きく傷つけ、さらなる政情不安を誘発する恐れがある。少々の犠牲を払っても、断固たる対応をせざるを得なかったものと推測される。
それだけ重要な施設なら、なぜ防護態勢をもっと厳重にしなかったのか疑問だ。事件の発生現場は街や住宅街ではない。施設は、砂漠の軍事警戒内にあったとはいえ、易々と武装勢力の侵入を許している。厳戒ラインが甘かったことは否定できない。銃や弾薬を持った武装集団が、大挙して襲うことを予想してなかったとすれば、お粗末である。
人質事件は、発生してから対応するのは極めて難しい。事前の策が大事だ。あの程度の警護隊ではイザと言う時に役には立たない。警戒ラインのどこかで不穏な動きを察知すれば、即、情報が伝わり、政府軍の派遣が可能となる仕組みが必要だ。
内部に協力者がいたとの説もあるが、基本的には、施設で働く労働者は徒手空拳である。企業や現地政府など雇う側が、危機管理網を二重三重に張り巡らせる必要がある。加えて、テロに狙われる素地があることを前提に、安全対策をもっと強化しておくべきだ。
by everyoung
| 2013-01-21 17:55
| 言いたい放題
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