2013年 10月 20日
軟着陸が大事 |
小泉純一郎元首相が、最近急に「原発ゼロ」を言い出した。倅の進次郎氏までが同調。物議を醸している。ドイツや北欧を訪問して、核燃料再処理の問題の難しさを再認識したことが背景にある。現役時代には、周辺の誰も原発の問題点をレクチャーしなかったのか、元々無知だったのかは知らない。
面白くしたのは、先日の読売新聞の社説が、小泉氏の論法に対し「見識を疑う」と指弾。これに小泉氏が反論を掲載したことだ。新聞が社説に勝手なことを書くのは自由だが、元首相たる人物が個別メディアにいちいち文句を付けるのは異例だ。
原発はないに越したことはない。ワガハイもそうだが、大方の世論も最終的に「ゼロ」になるのを望んでいるのは疑いのないことだ。エネルギー戦略として半世紀もの間稼働して来たものを、いきなり福島の事故で全部パーにするのは、いささか極論過ぎる。
ワガハイは、原発の安全性よりは使用済み核燃料の処理に問題があるとの認識を持っている。原発は、過去半世紀の稼働では、直接被曝により犠牲者は出ていない。安全性は、少なくとも過去においては十分に確保されて来た。人類が開発した文明の利器の中では最も安全性の高い部類に入ることは、何度も指摘して来たことだ。
再処理については、保管場所や放射性物質の取り扱いがやっかいである。今後技術が飛躍的に進み、もっと合理的で安価な方法が考えられるかも知れないが、近い将来は恐らく無理であろう。原発に後処理がつきまとう限り、順次廃止していくことには賛成である。
重要なのは、廃止までのプロセスだ。「原発ゼロ」を唱える人は多いが、どう軟着陸させて行くかについては解が示されていない。単に火力発電への依存度を増すだけでは意味がない。福島の事故以来すでに2年半が過ぎたが、原発を止めた代わりに、火力発電の負担を増大させ、電力料金を値上げしただけだ。
原発停止により、毎年3兆円のカネが余分に掛かっている。円相場が幾分安くなって、燃料の輸入価格を押し上げている面もあるが、量的にも増大しているのだ。さらに深刻なのは、二酸化炭素をどんどん吐き出し、大気汚染の拡散要因になっていることだ。
世界保健機関(WHO)は先に、大気汚染そのものに「発がん性」があるとの見解を発表した。大気汚染が原因による肺がんの死亡数は、世界で22万人超に達している。二酸化炭素などにより、がん以外の気管支障害などを合わせた死亡者は、同毎年30万人程度にも及んでいるのが実態だ。
死亡ゼロの原発を止めて、多くの人命を奪う大気汚染の原因を作り出していることになる。再生可能エネルギーが解決の決め手となるが、福島事故以来、発電割合はほとんど増えていないのが現状だ。原発依存度を限りなく「ゼロ」にするのを目指すのは結構なことだが、代替エネルギーについての具体策がなければ、荒唐無稽の話に終わる。
面白くしたのは、先日の読売新聞の社説が、小泉氏の論法に対し「見識を疑う」と指弾。これに小泉氏が反論を掲載したことだ。新聞が社説に勝手なことを書くのは自由だが、元首相たる人物が個別メディアにいちいち文句を付けるのは異例だ。
原発はないに越したことはない。ワガハイもそうだが、大方の世論も最終的に「ゼロ」になるのを望んでいるのは疑いのないことだ。エネルギー戦略として半世紀もの間稼働して来たものを、いきなり福島の事故で全部パーにするのは、いささか極論過ぎる。
ワガハイは、原発の安全性よりは使用済み核燃料の処理に問題があるとの認識を持っている。原発は、過去半世紀の稼働では、直接被曝により犠牲者は出ていない。安全性は、少なくとも過去においては十分に確保されて来た。人類が開発した文明の利器の中では最も安全性の高い部類に入ることは、何度も指摘して来たことだ。
再処理については、保管場所や放射性物質の取り扱いがやっかいである。今後技術が飛躍的に進み、もっと合理的で安価な方法が考えられるかも知れないが、近い将来は恐らく無理であろう。原発に後処理がつきまとう限り、順次廃止していくことには賛成である。
重要なのは、廃止までのプロセスだ。「原発ゼロ」を唱える人は多いが、どう軟着陸させて行くかについては解が示されていない。単に火力発電への依存度を増すだけでは意味がない。福島の事故以来すでに2年半が過ぎたが、原発を止めた代わりに、火力発電の負担を増大させ、電力料金を値上げしただけだ。
原発停止により、毎年3兆円のカネが余分に掛かっている。円相場が幾分安くなって、燃料の輸入価格を押し上げている面もあるが、量的にも増大しているのだ。さらに深刻なのは、二酸化炭素をどんどん吐き出し、大気汚染の拡散要因になっていることだ。
世界保健機関(WHO)は先に、大気汚染そのものに「発がん性」があるとの見解を発表した。大気汚染が原因による肺がんの死亡数は、世界で22万人超に達している。二酸化炭素などにより、がん以外の気管支障害などを合わせた死亡者は、同毎年30万人程度にも及んでいるのが実態だ。
死亡ゼロの原発を止めて、多くの人命を奪う大気汚染の原因を作り出していることになる。再生可能エネルギーが解決の決め手となるが、福島事故以来、発電割合はほとんど増えていないのが現状だ。原発依存度を限りなく「ゼロ」にするのを目指すのは結構なことだが、代替エネルギーについての具体策がなければ、荒唐無稽の話に終わる。
by everyoung
| 2013-10-20 18:27
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