2014年 08月 14日
成長軌道のカギ |
日本ばかりか世界の投資家からも注目されていた4−6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質年率換算で6、8%減となった。数値は、市場予測(7%減)よりはやや低い水準だったが、東日本大震災以来の大幅な落ち込みとなった。
個人消費や設備投資、外需など、「公的需要」以外は軒並みマイナスとなった。4月からの消費税引き上げの影響が大で、1−3月期の駆け込み需要の反動によるものだ。7−9月期の結果は11月中旬に発表されるが、この結果を見て、政府は次の消費税引き上げを最終判断する。
安倍晋三首相は、1−6月期でならして見ると、成長軌道にあることには変わりはないと強調。政府も、今期の低調は織り込み済みで想定内であり、7−9月期での盛り返しに自信を示している。
7−9月期がプラスになることは間違いないが、今後も成長が持続できるかどうかがポイントだ。企業の業績は、今のところ好調だ。賃金やボーナスにも反映、消費マインドも少しずつ改善の傾向にある。株価の上昇や増配で資産性所得も増え、高額商品中心に消費を支えている。
心配な点はいくつかある。一つは、エネルギーをはじめとする原材料価格の上昇だ。物価の押上げ要因となり、消費税以上に打撃を与えている。円安による影響もあるが、ドル・円相場はこのところ比較的安定している。懸念材料は地政学的リスクによる国際価格の動向だ。これを避けるには、対外依存度を順次減らすことを考えていくしかない。
もう一つは、輸出の不振だ。円が安くなれば交易条件が有利となり、本来なら輸出が増えなければならない。円は、一時より低下したものの、依然高い水準にあることに変わりはない。それにしても、輸出が増えないのは、構造要因によるものだ。
モノを国内で造って海外に売るというビジネスモデルは、すでに陳腐化している。国内消費も少子化で多くを期待できない。製造拠点や消費市場の海外シフトは自然の流れだ。
古典的な発想を早く捨て、対外直接投資を増やし、所得収支で稼ぐことをさらに進めるべきだ。加えて重要なのは技術開発の促進だ。これらの分野を、政府が本気で支援して環境を整えていけば、持続的成長は可能となろう。
by everyoung
| 2014-08-14 10:00
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