2014年 08月 22日
身は自分で守れ |
広島市での土砂災害による被害者は、死者・行方不明合わせて90人近い大規模なものになった。昨年、伊豆大島で多くの犠牲者が出たことは記憶に新しい。天を仰いで自然災害を恨むしかないのか。
この地域での豪雨災害は初めてではない。1999年に31人の死者を出している。国はこの経験から、「土砂災害防止法」を制定。宅地開発などを規制することにしたが、教訓が十分に生かされなかったことになる。
被害が大きくなったのは、自治体も住民も、豪雨を甘く見ていたフシがある。地震と違って、豪雨は突然来るものではない。雨量の多寡は予想を越える場合もあるが、事前の情報で、ある程度の見当は可能だ。しかも、この辺りが豪雨に弱い地質であることを承知しておかなければならない。
被害に遭った所が、「警戒区域」に指定されていなかったり、「避難勧告」が遅れたことなどが指摘されている。自治体も応分の責任はあるが、本来は住民自身が住宅の設置環境を頭に入れて、危険かどうかを判断すべきだ。
事後に、原因を他に転嫁する傾向があるが、それは間違いだ。「警戒区域」の指定についても、多くの場合、不動産の資産価値が下がるのを嫌がり、指定を拒否する住民が多い。「避難勧告」も基準や手順がまちまちで、絶対的なものではない。
今回のケースでは、山が崩れて土石流が発生。沢や川、道を伝って住宅街に押し寄せた。沢や川にダムなどの人工物が構築されて入れば、それが影響したとして、河川の管理者が責任を問われることもある。そうでない場合は、予見不可能として瑕疵は認められない。
森林の所有者や管理者は、土石流や山崩れを防ぐ治山義務はあるが、予測できない自然災害の場合は、免責となるのが一般的だ。住民が仮に損害賠償を求めるとすれば、瑕疵があったかどうかを住民側が立証する必要がある。これは無理な話だ。
犠牲者が出てからゴタゴタ言っても仕方がない。如何に被害に遭わないで済むかを、住民自身が常日頃から心掛けていなければならない。日本は自然災害の多い国にも関らず、海辺や山間にへばりつくように住宅が密集している。住宅環境が、場所によっては極めて脆弱で危険であることを、住民自身がまず認識しておくことが肝要だ。
by everyoung
| 2014-08-22 17:25
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