2014年 09月 01日
1勝2敗が理想 |
大雨や災害で大騒ぎした8月が終わり、漸く9月を迎えた。政局は、内閣改造や自民党役員人事を終えた後、臨時国会モードに移る。安倍晋三政権は、発足1年8ヶ月になるが、閣僚や党執行部の目立ったチョンボもなく、クビの据え替えもなかった。
政権の座にあるものは、内閣や党の人事権も掌握する。サラリーマンの世界では、人事は最大の関心ごとだが、政治家にとっても同じことだ。ポロポロと人事構想が漏れているが、主要閣僚の留任が多くなる見通しだ。ポスト待ち組は穏やかではなかろう。
人事は、本人にとって満足なのは3回に1回だ。ワガハイが勤めていた会社の社長が、人事担当だった頃に言っていたことだ。不満な人事が3回も続くと、嫌になって辞める。いつも満足な人事だけだと情実の臭いがする。他にしわ寄せが行き、批判が出ることになりかねない。1勝2敗がちょうどいいということだ。
今回の人事の焦点は、石破茂自民党幹事長の処遇だった。安倍首相は、新ポストの安保担当相への起用を求めたが、石破氏は断った。代わりに石破氏は、幹事長続投を希望。菅義偉官房長官が間に入って調整。石破氏が幹事長を諦め、安保担当相以外で入閣することで「三方一両損」の決着となった。
石破氏ぐらいの実力者になると、人事に注文を付ける立場にある。トップの意向に「ハイハイ」と従うわけにはいかない。菅氏は、石破氏に対し「次はあなたでしょ」と、「禅譲」を仄めかして説得したのが決め手となったと伝えられている。
そんな単純なことではないだろう。石破氏は事後に、「騙すより、騙される方が良い」とうそぶいていたが、裏に入念な計算があったとみるべきだ。今の情勢では、来秋の総裁選では、安倍氏の続投が決まるのは確実視されている。
安倍氏の健康問題について、石破氏がどうのこうのコメントしたとか言われているが、コトの真相はともかく、安倍氏はそれほど頑強ではない。いつまた健康を害するかもしれない。
「次」を狙う石破氏のライバルには、石原伸晃氏や林芳正氏らがいる。前者は軽卒で、役不足だ。後者は参院議員で、すぐにトップを目指すには無理がある。石破氏としては、ここは安倍氏に協力して、力を溜めた方が得策との判断があったものと推定される。菅氏のささやきは、言わずもがなのことだ。
政界の人事は、様々な思惑が錯綜した中で決定される。過去の例から見ても、誰も「禅譲」なんか信じる人はいない。サラリーマンと同様に、序列やキャリアも大事だが、所詮、騙し合いの世界であることに変わりはない。
by everyoung
| 2014-09-01 20:07
| 言いたい放題
|
Comments(0)