2014年 10月 26日
厄介な相手 |
北朝鮮による日本人拉致に関する調査経過の報告を聞くため、政府の代表団がきょうピョンヤンに向け出発した。北朝鮮側からどの程度の説明があるのかは不明だが、解決にはなお時間が掛かりそうだ。
拉致被害者家族の代表である飯塚繁雄氏などは、訪問が「解決に有効かどうか不透明で、今行くのは危険」だとか、「安否確認の報告があるまで待つべきだ」などと慎重論が強かった。これに対し安倍晋三首相は、「対話が閉ざされる危険がある」「拉致解決が最優先であることを伝える」として訪問を実現することにした。
調査対象となっているのは、拉致被害者だけでなく、行方不明や特定失踪者、日本人残留者や配偶者含めた3000人以上と推定されている。拉致被害者は、北朝鮮側の何らかの意図により連れて行ったもので、改めて調査しなくても当局は全て把握している事柄だ。
調査報告ついて北朝鮮が「詳細はピョンヤンで話す」と、なぜ主張したのかは分からない。機微に触れる情報があり、第三国での情報露営を警戒した可能性がある。北朝鮮は、拉致被害者の消息だけでなく、他の調査対象を含め一括処理を狙っているフシがある。政治的な思惑があるのか、拉致被害者以外の調査に手間取っているのかは推測の域を出ない。
他の国の人間を勝手に攫って行くことは犯罪行為に他ならない。「人質(拉致被害者)を取って身代金(経済援助や人道的支援)」を要求する図式と同じだ。タダで返して当たり前の話で、本来なら交渉が行き詰まれば強硬手段に訴えるだけだ。
問題を複雑にしたのは、拉致の発生がずっと後になって判明した点だ。即、認識されていれば、「自衛権の行使」で阻止できたかもしれない。米国が、現在シリアで実施している空爆と同じ理屈だ。事後になっては、国連の捌きに任せるか、相対で政治的に交渉するしかない。
国連が無能であることは今更言うまでもない。核やミサイルについては制裁を実施しているが、拉致では指導的役割を発揮していない。日本が個別に制裁を科しているに過ぎない。他の被害国とも協力して、国連にもっと圧力を掛けることが必要だ。
仮に国連が、集団的安保や多国籍軍の派遣で拉致を解決しようとしても、核やミサイルで応戦される危険性がある。米国が日本の立場であっても、軍事力を行使することは無理だ。北朝鮮は、それを十分に承知している。今の北朝鮮に対しては、経済的に追い込むことしかできないのが現状だ。
(13年4月「女の存在感」14年5月「拉致解決成るか」、同7月「本気度試す」
など参照)
by everyoung
| 2014-10-26 11:53
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