2015年 04月 14日
成金中国の実態 |
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創設メンバーへ加わることを、日本はひとまず見送った。英国、ドイツなど、主要国が駆け込み参加を表明したこともあり、「バスに乗り遅れるな」とする意見もあるが、運営方針が不明確な状況で、慌てて相乗りする必要はない。
途上国への開発援助機関としては、アジア開発銀行(ADB)や世界銀行などがあるが、8兆ドルとも言われる今後のインフラ需要を見込めば、両者では対応仕切れない。早めにAIIBに参入、分け前に預かる方が得策というのが、賛成派の言い分だ。
当初は中国色が強かったが、他の主要国の参加により、ある程度は国際的基準に沿った運営方針となる公算が大きくなった。日本は、その動向を見極めながら決めればよい。日本が参加すれば、中国に次ぐ出資規模となり、巨額の税金の投入が不可欠となる。
参加するかどうかを考える前に、頭に入れておかねばならないことがいくつかある。その一つは、過去における対中援助の動向だ。政府開発援助(ODA)は、二国間とADBなどを通じた多国間援助に分かれる。
日本は、戦後の「賠償責任」の一環として、中国はじめ多くの途上国の開発を、ODAにより支援してきた。特に中国の経済発展には多大な貢献を果たした。今日の中国の発展は、日本の援助がなければ達成できなかったと言っても過言ではない。
対中ODAについては、二国間での円借款を中心とする低利融資は、一応08年度で終了したとされている。無償援助や技術協力はその後も続いている。多国間援助では、ADBを通じた対中資金援助は3兆円近くに達していると見られる。
二国間、多国間合わせた対中援助額は、累計で6兆円にも上るとの説があるが、はっきりした数字は不明確である。政府は、有償無償合わせた対中援助の現状と、資金の移動実態を詳しく国民に説明。同時に国際的にも対中援助の実績を宣伝すべきである。
二つ目は、ADBとの関係だ。日本のADBに対する出資比率は、米国と同じ15、7%と最大。総裁も代々日本の大蔵省(当時)、財務省OBが就いている。「ヒモ付き融資」は低下傾向にある。
中国はADBにも出資しており、受注額はトップで21%近くを占める。日本は13年度実績でわずか0、21%に過ぎない。麻生太郎財務相は、AIIBへの参加を見送ってもマイナスにはならない根拠として、「日本企業の受注比率は0、5%ぐらいだ」と述べていたが、実態はもっと少ない水準だ。
ADBを通じた資金援助でも、日本企業が受けるメリットは限定的である。一部の企業では、AIIBの魅力を強調する意見があるが、アジア地域では多国間よりは二国間の方が得るものが多いような気がする。
もう一点指摘したいのが、中国の意図を見抜くことだ。中国はAIIBにより、「一帯一路」構想の実現を狙っている。陸、海の「シルクロード」の構築により、覇権の確保である。同時に、国内供給過剰のはけ口を求めていることだ。
中国は、3兆8000万ドルの外貨準備を保有。国内総生産(GDP)は、日本の倍にも達している。確かに経済規模は大きくなったが、共産党一党独裁国家として多くな内部矛盾を抱え、経済改革も進んでいない。本来なら、とても人様にカネを貸すような立場にはないのだ。
by everyoung
| 2015-04-14 10:20
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