2015年 04月 22日
上昇トレンド |
日経平均株価が、終値でも2万円台を回復した。先日、取引時間中にすでに達成していたので、驚くことではないが、この水準乗せは約15年ぶりとなる。東証株価指数(TOPIX)も7年半ぶりに1600台に戻しており、株価は上昇基調にある。
世間では、日経平均を見て、一喜一憂する傾向があるが、全体の株式市場の動きを見るには適切ではない。日経平均は、わずか225銘柄を対象にした単純平均で算出され、値がさ株の影響を大きく受ける。
ファナックやファーストリテイリング、ソフトバンクの3銘柄だけで、指数の20%を占め、上がっても下がっても、これらの一部の銘柄の動向が全体を左右する。日経平均を意図的に動かそうとして、投機的な売り買いが展開される欠点がある。
TOPIXは、一部上場銘柄全部を対象として、時価総額の加重平均で評価されている。時価総額が大きい銘柄の動きが影響する特徴がある。両指数の割合を示す指標としてN/T倍率がある。10が基準で、現在12、5ぐらいのでの動きとなっている。
一般に、N/T倍率が上がれば株価は上昇トレンドにあると言われている。開き過ぎれば、どちらかが修正する方向に動く。ここ数日、TOPIXの中心銘柄である、銀行株などに買いが戻り、N/T倍率は幾分縮小気味にある。
以前、日経平均を株価動向の指数として取り上げるのはおかしいとの議論があり、メディアでもTOPIXを中心に報道する時期があったが、いつの間にか、日経平均中心に戻ってしまった。過去との比較などで馴染みがあるということかも知れない。
TOPIXの水準を見る限り、株価全体が押し上げられているとは言い難い。PER(株価収益率)は16〜17、PBR(純資産倍率)は1、5倍程度だ。上がっていることには間違いないが、過熱状態には至っていない。
3流評論家などが、アベノミックスによる「官製相場」「実態の伴わない相場」などと酷評している。経済を回復軌道に乗せ、デフレからの脱却を図る場合、政治的な仕掛けが必要だ。相当思い切った方向転換をしない限り、向きを変えることはできない。そういう意味では「官製相場」である。
実態はどうか。企業業績は急回復。政権への安心感から、企業は貯め込んだカネを賃金の引き上げや、株主還元、設備投資に向けつつある。ゆっくりではあるが「トリクルダウン」が進行中である。
欧米は、量的緩和など機敏に手を打ち、リーマンショックからいち早く立ち直り、株価もすでに過去最高を示顕している。日本は、安倍晋三政権の誕生と黒田東彦日銀総裁の登場で、漸く欧米並みに追い付きつつあるところだ。アベノミックスが奏功するかどうかはまだ予断できないが、着実に良い方向に向かっていることは事実だ。
(14年12月「もう」と「まだ」など参照)
by everyoung
| 2015-04-22 18:27
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