2015年 04月 30日
深刻な実態 |
温室効果ガス濃度の上昇抑制は、世界的に取り組むべき課題で、米国やロシア、EUなどが相次いで削減目標を策定。日本も、30年には現状より26%程度減らす方向で調整中だ。6月のサミットまでに数値を確定する見通しだ。
日本は30年の電源構成を、原発と再生可能エネルギーで44%確保。天然ガスに27%、石炭火力に26%、石油火力に3%に依存する。これを前提に、省エネや緑化などで減らせる分を考慮して決めたものだ。
世間では、原発20〜22%に対し、再生可能エネルギーの割合が22〜24%と低水準であることが問題視されている。経産省が先に公表した試算では、原発のコストが一番低く、石油が逆に最も高い。後は、地熱、風力、天然ガス、石炭、太陽熱の順だ。
原発とほぼ同じコストの水力を除けば、再生可能エネルギーの普及にはカネが掛かるということだ。15年度の電気代への上乗せは、すでに総額で1兆3000億円を超え、15年後には4兆円に迫る水準に達すると見られている。再生可能エネルギーが二酸化炭素に優しいといっても、そう簡単には増やせない事情がある。
重要なのは、石炭火力に4分の1も頼ることだ。二酸化炭素の石炭による排出量は、石油の1、3倍、天然ガスの約2倍にも達する。最近、火力発電の分野では、石炭から天然ガスへの切り替えが進んでいるが、コストなどの関係で30年段階でも漸く両者が拮抗する水準に至に過ぎない。
世界保健機構(WHO)によると、大気汚染により世界で毎年130万人が死んでいる。屋内汚染分を加えると200万人に達する。中国のPM2、5の濃度は、屋内でも屋外の3分の1もあるというデータも公表されている。
大気汚染には、様々な有害物質が影響しているが、二酸化炭素による呼吸器系障害だけでも毎年26万人が命を落としている。日本の二酸化炭素の排出量は世界5位で、全体の約5%を占めている。単純計算すると、日本の「貢献度」は年間1万3000人の殺人に値する。
ワガハイは、これまでも何度か指摘して来たが、温室ガス効果による影響は、氷が融けたり、風水害などの自然災害を誘発するだけではない。毎年、驚くほどの人命を犠牲にしていることを認識しなければならない。
「貢献度」をいくらかでも減らすには、二酸化炭素の排出を制限するしかない。原発はないに越したことはないが、再生可能エネルギーへの置き換えや省エネには限界がある。相当の技術的飛躍とコスト負担がなければ達成できない。
by everyoung
| 2015-04-30 09:47
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