2015年 08月 27日
国際法違反 |
先日、参院での安保法制に関する質疑で、「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本議員が質問に立ち、米軍による国際法違反問題を取り上げた。雑魚政党のどうでもよい議員の指摘であったが、興味があったので、テレビでやり取りの一部を見た。
山本議員の狙いは、米軍の過去の行為は国際法違反で、自衛隊が戦争犯罪の共犯者となる可能性を追及することにあった。山本氏は、第二次大戦当時の原爆投下や無差別な空襲などと併せ、イラク戦争での数多くの虐殺事例などを紹介。「米国は建国239年になるが、その内93%の期間を戦争し続けた国だ」とし、戦争犯罪の常習国であるとの考えを表明した。
イラクの件について安倍晋三首相は、「事例については承知していない」と躱した。民間人虐殺などに関しては、岸田文雄外相が代わって答弁。「人道主義の精神に合致しないと理解している。国際司法裁判所でも、そうした議論が行われている」とだけ述べ、日本政府の考えについては明確な答弁を避けた。
さらに山本議員は、「国際人道法などの違反行為に対する支持はしないと断言できるのか」と迫った。これに対し安倍首相は、「国際法、国際人道法上の原則に違反する行為をした場合、支持しないのは当然で、自衛隊も共犯者になることはない。支持対象国の如何により変わることはない」と言明した。
ワガハイも、米軍の軍事行動には国際法違反の疑いが濃厚であるとの認識を予々持っている。その根拠は、戦争状況下で軍事組織が遵守しなければならない義務規定を決めた「戦時国際法」と、第一次大戦後に締結された「パリ不戦条約」にある。
前者には、戦争のルールを決めた「ハーグ陸戦条約」と、傷病者や捕虜などの扱いを規定した「ジュネーブ条約」がある。山本議員が指摘したのは「ハーグ陸戦条約」だ。民間施設や非戦闘員などに対する無差別攻撃を禁止しているが、米軍の行為は明らかに違反に該当するということだ。「戦時国際法」は、今では「国際人道法」に衣替えしている。
「パリ不戦条約」では、紛争は平和的手段により解決することを規定。米国も批准国だ。この条約は、日本の憲法のベースになったものだ。侵略の定義が曖昧で「自国の裁量権に任せる」とされている。つまり、当該国が「侵略」と認めれば侵略戦争となり、「自衛」と主張すれば自衛戦争となる。そもそも「侵略」の定義は、今も国際的に定まっていないのだ。
戦後の国連憲章では、戦争放棄と武力行使を禁止している。あくまでも「侵略」を目的とするもので、「自衛」はOKだ。では、これに違反した国に対してはどうするのか。武力による対抗措置は基本的には取れないので、非軍事的制裁措置を講じるしかない。もっとも、国連が決議すれば武力行使も可能となる。
イラク戦争の例では、米英は国際法違反の立場を取っていない。イラクが国連安保理決議を履行せず、「遵守違反」であることを武力制裁の理由に挙げている。イラクの行為は、「急迫・不正」であり、他に手段がなく、必要最小限の措置としての「自衛手段」であったことを両国は強調している。
過去に何度も指摘したことだが、国際条約や国際法の解釈は、残念ながら力関係で決まっているのが現状だ。国際法違反に対して強制執行力を発揮できる機関が存在していない。国連は、総じて無力で、一部の国の特権で動いている。国際紛争の解決には、経済力や軍事力がないと建前論では太刀打ちできない。
(06年8月「日本の誇り」など参照)
山本議員の狙いは、米軍の過去の行為は国際法違反で、自衛隊が戦争犯罪の共犯者となる可能性を追及することにあった。山本氏は、第二次大戦当時の原爆投下や無差別な空襲などと併せ、イラク戦争での数多くの虐殺事例などを紹介。「米国は建国239年になるが、その内93%の期間を戦争し続けた国だ」とし、戦争犯罪の常習国であるとの考えを表明した。
イラクの件について安倍晋三首相は、「事例については承知していない」と躱した。民間人虐殺などに関しては、岸田文雄外相が代わって答弁。「人道主義の精神に合致しないと理解している。国際司法裁判所でも、そうした議論が行われている」とだけ述べ、日本政府の考えについては明確な答弁を避けた。
さらに山本議員は、「国際人道法などの違反行為に対する支持はしないと断言できるのか」と迫った。これに対し安倍首相は、「国際法、国際人道法上の原則に違反する行為をした場合、支持しないのは当然で、自衛隊も共犯者になることはない。支持対象国の如何により変わることはない」と言明した。
ワガハイも、米軍の軍事行動には国際法違反の疑いが濃厚であるとの認識を予々持っている。その根拠は、戦争状況下で軍事組織が遵守しなければならない義務規定を決めた「戦時国際法」と、第一次大戦後に締結された「パリ不戦条約」にある。
前者には、戦争のルールを決めた「ハーグ陸戦条約」と、傷病者や捕虜などの扱いを規定した「ジュネーブ条約」がある。山本議員が指摘したのは「ハーグ陸戦条約」だ。民間施設や非戦闘員などに対する無差別攻撃を禁止しているが、米軍の行為は明らかに違反に該当するということだ。「戦時国際法」は、今では「国際人道法」に衣替えしている。
「パリ不戦条約」では、紛争は平和的手段により解決することを規定。米国も批准国だ。この条約は、日本の憲法のベースになったものだ。侵略の定義が曖昧で「自国の裁量権に任せる」とされている。つまり、当該国が「侵略」と認めれば侵略戦争となり、「自衛」と主張すれば自衛戦争となる。そもそも「侵略」の定義は、今も国際的に定まっていないのだ。
戦後の国連憲章では、戦争放棄と武力行使を禁止している。あくまでも「侵略」を目的とするもので、「自衛」はOKだ。では、これに違反した国に対してはどうするのか。武力による対抗措置は基本的には取れないので、非軍事的制裁措置を講じるしかない。もっとも、国連が決議すれば武力行使も可能となる。
イラク戦争の例では、米英は国際法違反の立場を取っていない。イラクが国連安保理決議を履行せず、「遵守違反」であることを武力制裁の理由に挙げている。イラクの行為は、「急迫・不正」であり、他に手段がなく、必要最小限の措置としての「自衛手段」であったことを両国は強調している。
過去に何度も指摘したことだが、国際条約や国際法の解釈は、残念ながら力関係で決まっているのが現状だ。国際法違反に対して強制執行力を発揮できる機関が存在していない。国連は、総じて無力で、一部の国の特権で動いている。国際紛争の解決には、経済力や軍事力がないと建前論では太刀打ちできない。
(06年8月「日本の誇り」など参照)
by everyoung
| 2015-08-27 13:27
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