2016年 01月 18日
あり得ない統一 |
台湾総統選は、野党・民進党の蔡英文氏が圧勝して終わった。事前予想で、蔡氏の有利が当初から伝えられ、どの程度の差がつくかが焦点であった。民進党は、立法院選でも議席を大きく伸ばし、過半数を獲得した。中国との関係が争点であったが、急速に両者の関係が悪化することにはならないだろう。
選挙結果は、馬英九総統が中国へ急接近したことに対する国民の反発によるものだ。馬氏は、対中融和路線を進め、貿易や資本面での中国との関わりを強めた。経済面だけでなく、政治面や社会面への中国の影響を懸念した多くの民族系や戦後世代が蔡氏の支持に回った。
米国は、民主主義の成果であることを強調する声明を出したが、蔡氏は、中国との関係を「現状維持」として慎重な構えを示している。日本も同様だが、台湾も対中経済依存度が高く、一気に中国放れはしにくい情勢だ。「付かず離れず」の関係を保ちながら、徐々に軌道修正を図って行くことになるだろう。
戦後1945年当時は、中国大陸は中華民国の支配下にあった。その後の内戦で、中国共産党が大陸を支配。49年には蔣介石率いる中華民国政府が台湾に移転した。71年には、中華人民共和国が国連の議席を継承し、多くの国が中共を承認することになった。
これにより、中共は「中国唯一の合法的代表」であると主張。台湾は「中共の台湾省」、あるいは「台湾地域」と呼ぶようになった。多くの国も、中共を「合法的政府」として認め、現在に至っている。中共も台湾も公式には、互いに正式な政府としては認知していない。
台湾はほとんどが漢民族で、戦前から台湾に居住する「本省人」と、国民党軍と共に移住した「外省人」に分類される。「本省人」は85%を占め、主に福建系と客家系に分かれている。「外省人」は13%、原住民が2%という民族構成だ。
中共は「一つの中国」に拘っているが、中華民国もかつて「一つの中国」を主張していた経緯がある。香港やマカオは現在、「特別行政区」となっており、制度が異なる。台湾は民主主義の主権国家であり、共産党一党独裁国家とは相容れない。両立関係は、将来も変わらないであろう。
変わるとすれば、中共が軍事的に台湾を支配するか、中共が内部崩壊するしかない。前者の可能性はほとんどないだろう。後者は、今後の経済情勢によってはあり得る。その時には、中共と台湾といった「二つの中国」ではなく、10ぐらいの国に分裂するかも知れない。
蔡政権の発足は、日本にとって歓迎すべきことだ。両者はもともと良好な関係にある。経済面だけでなく、文化面など多くの分野で密接な交流がある。台湾は、東日本大震災の際には200億円もの義援金を贈り、日本人を感動させた。米国を含め、台湾との関係はより強固なものに進展、対中包囲網は一段と狭まる方向に動くことは間違いない。(14年3月「どっちもどっち」など参照)
選挙結果は、馬英九総統が中国へ急接近したことに対する国民の反発によるものだ。馬氏は、対中融和路線を進め、貿易や資本面での中国との関わりを強めた。経済面だけでなく、政治面や社会面への中国の影響を懸念した多くの民族系や戦後世代が蔡氏の支持に回った。
米国は、民主主義の成果であることを強調する声明を出したが、蔡氏は、中国との関係を「現状維持」として慎重な構えを示している。日本も同様だが、台湾も対中経済依存度が高く、一気に中国放れはしにくい情勢だ。「付かず離れず」の関係を保ちながら、徐々に軌道修正を図って行くことになるだろう。
戦後1945年当時は、中国大陸は中華民国の支配下にあった。その後の内戦で、中国共産党が大陸を支配。49年には蔣介石率いる中華民国政府が台湾に移転した。71年には、中華人民共和国が国連の議席を継承し、多くの国が中共を承認することになった。
これにより、中共は「中国唯一の合法的代表」であると主張。台湾は「中共の台湾省」、あるいは「台湾地域」と呼ぶようになった。多くの国も、中共を「合法的政府」として認め、現在に至っている。中共も台湾も公式には、互いに正式な政府としては認知していない。
台湾はほとんどが漢民族で、戦前から台湾に居住する「本省人」と、国民党軍と共に移住した「外省人」に分類される。「本省人」は85%を占め、主に福建系と客家系に分かれている。「外省人」は13%、原住民が2%という民族構成だ。
中共は「一つの中国」に拘っているが、中華民国もかつて「一つの中国」を主張していた経緯がある。香港やマカオは現在、「特別行政区」となっており、制度が異なる。台湾は民主主義の主権国家であり、共産党一党独裁国家とは相容れない。両立関係は、将来も変わらないであろう。
変わるとすれば、中共が軍事的に台湾を支配するか、中共が内部崩壊するしかない。前者の可能性はほとんどないだろう。後者は、今後の経済情勢によってはあり得る。その時には、中共と台湾といった「二つの中国」ではなく、10ぐらいの国に分裂するかも知れない。
蔡政権の発足は、日本にとって歓迎すべきことだ。両者はもともと良好な関係にある。経済面だけでなく、文化面など多くの分野で密接な交流がある。台湾は、東日本大震災の際には200億円もの義援金を贈り、日本人を感動させた。米国を含め、台湾との関係はより強固なものに進展、対中包囲網は一段と狭まる方向に動くことは間違いない。(14年3月「どっちもどっち」など参照)
by everyoung
| 2016-01-18 09:56
| 言いたい放題
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