2016年 10月 05日
前途危うい |
ノーベル医学生理学賞に、東工大栄誉教授の大隅良典氏が選ばれた。日本人受賞者は3年連続で、自然科学の水準の高さを示すもので、メデタイことだ。評価された「オウトファジー」については、詳しいことは分からないが、様々な分野に応用が期待されているようだ。
企業の研究所などでは日夜、開発競争が続いている。基礎研究にばかり没頭していては、ゼニは稼げない。何年かを目標に掲げて、新製品に結びつくような研究が要求される。じっくりと腰を落として、基礎実験を繰り返すような環境は、政府の研究機関か大学の研究室ぐらいだ。
大隅氏は受賞が決まった後、「若い研究者を支持したい」として、「賞金を元に、企業からも協力を得て、奨学金や研究費を提供する仕組みをつくりたい」と抱負を語っていた。大隅氏が手にする賞金は1億円弱だ。これを全額つぎ込んでも限界がある。同氏によると、企業がゴルフやサッカーに提供している資金の一部でも研究支援に回れば」と述べていた。
企業は目先の利益を優先して、プロスポーツなどの支援したり、スポンサーになっている。選手は、企業の「宣伝要員」の一種である。人間社会にとって、スポーツを愛好することは悪いことではないが、科学技術面での選手の貢献度は無いに等しい。
「社会全体が大きく支えるという認識が広がらないと科学者は育たない」、と大隅氏は苦言。「長い視点で科学を支えて行く社会の余裕が大事だ」と指摘していた。ノーベル賞受賞者の多い米国や英国は、認識や余裕の面では、日本とは相当な開きがあるのが実態だ。
研究開発費の中で基礎研究部門が占める割合は、日本の大学では半分程度で、しかも斬減傾向にある。予算は、一部の大学の成長分野に重点配分され、裾野の広がりには至っていない。政府は、これを機に思い切った底上げを図る必要がある。
懸念されるのは、研究者の層が薄いという点だ。今、ノーベル賞に輝いているのは20〜30年前の研究成果が評価されたためだ。逆に言うと、今、コツコツと汗を流して研究している成果が、陽の目を見るのはずっと先のこととなる。
ワガハイの時代は、工学部や理学部でも大学院に進む学生は限られていた。代が替わり、息子の時代には、理系の8〜9割が院まで行くようになった。それでも修士どまりだ。就職の問題などが影響するためだ。博士課程へは8%程度で、大学に残って研究を続ける意思のあるほんの一部過ぎない。
昨年のノーベル賞受賞が決まった後の文科省の調査によると、理系に進学を希望する学生は、従来より増加した。半面、親の反応は逆で、理系を敬遠させたい意向が強いとか。親にとっては、文系の方が楽だとの意識があるためだ。
このままだと、入り口に当たる理系への進学はもちろん、博士課程や研究者への道を敬遠する学生が多くなるかもしれない。今は、日本人ノーベル賞受賞者のニュースがが年中行事化しているが、いずれ途切れる可能性が大だ。研究者を継続的に育てることが不可欠で、ある日突然に受賞に繋がることはないのだ。
企業の研究所などでは日夜、開発競争が続いている。基礎研究にばかり没頭していては、ゼニは稼げない。何年かを目標に掲げて、新製品に結びつくような研究が要求される。じっくりと腰を落として、基礎実験を繰り返すような環境は、政府の研究機関か大学の研究室ぐらいだ。
大隅氏は受賞が決まった後、「若い研究者を支持したい」として、「賞金を元に、企業からも協力を得て、奨学金や研究費を提供する仕組みをつくりたい」と抱負を語っていた。大隅氏が手にする賞金は1億円弱だ。これを全額つぎ込んでも限界がある。同氏によると、企業がゴルフやサッカーに提供している資金の一部でも研究支援に回れば」と述べていた。
企業は目先の利益を優先して、プロスポーツなどの支援したり、スポンサーになっている。選手は、企業の「宣伝要員」の一種である。人間社会にとって、スポーツを愛好することは悪いことではないが、科学技術面での選手の貢献度は無いに等しい。
「社会全体が大きく支えるという認識が広がらないと科学者は育たない」、と大隅氏は苦言。「長い視点で科学を支えて行く社会の余裕が大事だ」と指摘していた。ノーベル賞受賞者の多い米国や英国は、認識や余裕の面では、日本とは相当な開きがあるのが実態だ。
研究開発費の中で基礎研究部門が占める割合は、日本の大学では半分程度で、しかも斬減傾向にある。予算は、一部の大学の成長分野に重点配分され、裾野の広がりには至っていない。政府は、これを機に思い切った底上げを図る必要がある。
懸念されるのは、研究者の層が薄いという点だ。今、ノーベル賞に輝いているのは20〜30年前の研究成果が評価されたためだ。逆に言うと、今、コツコツと汗を流して研究している成果が、陽の目を見るのはずっと先のこととなる。
ワガハイの時代は、工学部や理学部でも大学院に進む学生は限られていた。代が替わり、息子の時代には、理系の8〜9割が院まで行くようになった。それでも修士どまりだ。就職の問題などが影響するためだ。博士課程へは8%程度で、大学に残って研究を続ける意思のあるほんの一部過ぎない。
昨年のノーベル賞受賞が決まった後の文科省の調査によると、理系に進学を希望する学生は、従来より増加した。半面、親の反応は逆で、理系を敬遠させたい意向が強いとか。親にとっては、文系の方が楽だとの意識があるためだ。
このままだと、入り口に当たる理系への進学はもちろん、博士課程や研究者への道を敬遠する学生が多くなるかもしれない。今は、日本人ノーベル賞受賞者のニュースがが年中行事化しているが、いずれ途切れる可能性が大だ。研究者を継続的に育てることが不可欠で、ある日突然に受賞に繋がることはないのだ。
by everyoung
| 2016-10-05 17:06
| 言いたい放題
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