2016年 10月 28日
利口かバカか |
「土人」という言葉は差別用語らしいので、「土民」ということにしよう。その南洋「土民」の親玉みたいなのが来日。安倍晋三首相らと会談した。フィリピンのドゥテルテ大統領のことだ。就任以来、言いたい放題で、「暴言大統領」とも称されている。
ドゥテルテ大統領の訪日は、先の訪中に続く外遊第2弾だ。主に経済援助を求めるのが狙いで、対日、対中とも、概ね思惑通りの成果を挙げた。ドゥテルテ大統領は、天皇陛下にも会う予定だったが、直前の皇室の不幸でキャンセルされた。皇居で唾を吐いたり、立ちション便でもしかねない男だ。不幸中の幸いだったかも知れない。
フィリピンが最近注目されているのが南シナ海問題だ。中国側との会談では、この問題の協議を事実上棚上げ。代わりに2兆5000億円もの援助を約束させた。中国としても、海洋権益の拡充は重要な国家戦略の一つだ。「カネで済むことなら」との判断があったとも推測される。
中国が札束でいくら懐柔しても、常設仲裁裁定の判決を覆すことはできない。ドゥテルテ大統領は、うまく立ち回り、中国の弱みを突く振りをしてカネをせしめたことになる。いつでも中国を脅せる立場にあり、高度な外交戦術を展開したとも見ることができる。
具体性のない援助を約束した中国に比べ、日本は、大型巡視船2隻の建造費を円借款供与。海上自衛隊の練習機TC90を有償貸与することなどで合意。代わりに南シナ海問題では、「国際法に従った平和的解決が重要」との双方の立場を声明に盛り込むことに成功。仲裁裁定でも「日本側に立つ」との言質を引き出した。
日本はフィリピンにとって最大の援助国であり、最大の貿易相手国である。ドゥテルテ大統領もよく承知しており、これまでの関係についても、晩餐会で「日本がフィリピンを裏切ったことは一度もない」などと発言。親日ぶりを見せている。
問題なのは対米関係だ。ドゥテルテ大統領は、「米国に犬のような扱いを受けた」と述べている。援助をエサに言うことを聞かされて来た、との個人的な悪感情が背景にあるようだ。その割には、要人と会っている時にもガムを咬むなど、品のない米国人の真似ごとをしているのが滑稽に映る。
講演でドゥテルテ大統領は、「今後2年で外国軍の支配を受けないようにする」と述べ、米国との軍事協定の見直しまで示唆している。首脳会談などで日本側は、麻薬対応や軍事協定などには深入りしなかった模様だ。ドゥテルテ大統領にとっては、機微に触れる事項であり、敢えて避けたフシがある。
オバマ大統領の任期は迫っており、事実上レームダック化している。そこを見透かしてドゥテルテ大統領は「本音」を吐露し続けている。米国の新体制が軌道に乗った辺りから、ドゥテルテ大統領も対米路線を徐々に軌道修正する可能性がある。外交常識として一見愚かな言動に見えるが、もしかしたら相当の策士で、深慮遠謀があるのかも知れない。
安倍首相の対中、対米戦略からして、ドゥテルテ大統領を引きつけておくことは極めて重要である。首脳会談では、「少人数」での話し合いもあったようだが、詳細な内容は不明だ。恐らく、ドゥテルテ大統領の腹の内を探ったものと見られる。今後、安倍首相の役割が注目視されるのは確実だ。
ドゥテルテ大統領の訪日は、先の訪中に続く外遊第2弾だ。主に経済援助を求めるのが狙いで、対日、対中とも、概ね思惑通りの成果を挙げた。ドゥテルテ大統領は、天皇陛下にも会う予定だったが、直前の皇室の不幸でキャンセルされた。皇居で唾を吐いたり、立ちション便でもしかねない男だ。不幸中の幸いだったかも知れない。
フィリピンが最近注目されているのが南シナ海問題だ。中国側との会談では、この問題の協議を事実上棚上げ。代わりに2兆5000億円もの援助を約束させた。中国としても、海洋権益の拡充は重要な国家戦略の一つだ。「カネで済むことなら」との判断があったとも推測される。
中国が札束でいくら懐柔しても、常設仲裁裁定の判決を覆すことはできない。ドゥテルテ大統領は、うまく立ち回り、中国の弱みを突く振りをしてカネをせしめたことになる。いつでも中国を脅せる立場にあり、高度な外交戦術を展開したとも見ることができる。
具体性のない援助を約束した中国に比べ、日本は、大型巡視船2隻の建造費を円借款供与。海上自衛隊の練習機TC90を有償貸与することなどで合意。代わりに南シナ海問題では、「国際法に従った平和的解決が重要」との双方の立場を声明に盛り込むことに成功。仲裁裁定でも「日本側に立つ」との言質を引き出した。
日本はフィリピンにとって最大の援助国であり、最大の貿易相手国である。ドゥテルテ大統領もよく承知しており、これまでの関係についても、晩餐会で「日本がフィリピンを裏切ったことは一度もない」などと発言。親日ぶりを見せている。
問題なのは対米関係だ。ドゥテルテ大統領は、「米国に犬のような扱いを受けた」と述べている。援助をエサに言うことを聞かされて来た、との個人的な悪感情が背景にあるようだ。その割には、要人と会っている時にもガムを咬むなど、品のない米国人の真似ごとをしているのが滑稽に映る。
講演でドゥテルテ大統領は、「今後2年で外国軍の支配を受けないようにする」と述べ、米国との軍事協定の見直しまで示唆している。首脳会談などで日本側は、麻薬対応や軍事協定などには深入りしなかった模様だ。ドゥテルテ大統領にとっては、機微に触れる事項であり、敢えて避けたフシがある。
オバマ大統領の任期は迫っており、事実上レームダック化している。そこを見透かしてドゥテルテ大統領は「本音」を吐露し続けている。米国の新体制が軌道に乗った辺りから、ドゥテルテ大統領も対米路線を徐々に軌道修正する可能性がある。外交常識として一見愚かな言動に見えるが、もしかしたら相当の策士で、深慮遠謀があるのかも知れない。
安倍首相の対中、対米戦略からして、ドゥテルテ大統領を引きつけておくことは極めて重要である。首脳会談では、「少人数」での話し合いもあったようだが、詳細な内容は不明だ。恐らく、ドゥテルテ大統領の腹の内を探ったものと見られる。今後、安倍首相の役割が注目視されるのは確実だ。
by everyoung
| 2016-10-28 17:11
| 言いたい放題
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