2017年 02月 25日
対立深刻化 |
米国は世界に冠たる民主主義国家であるはずだが、トランプ政権のやることは全体主義国家と同じだ。ホワイトハウスのスパイサー報道官が定例の記者会見で、ついに気に入らないメディアの記者を閉め出す愚挙に出た。
昔、日本の佐藤栄作首相(当時)が政権末期に、新聞社や通信社の会見出席を拒否し、テレビカメラに向かって淡々と自分の言いたい事だけをしゃべったことがある。活字メディアは、発言内容を歪曲したり、一部分だけを拾い上げて報道するのがけしからんとして実力行使で出たものだ。
ホワイトハウスの報道官は、日本でいえば官房長官のような存在だ。政府の考え方について、いちいち首相が発言するのではなく、政府を代表として記者に説明したり、質疑に答える役目を担っている。政府のスポークスマンである。
スパイサーは、政権の言う事を聞く記者だけを選別して別室に呼び、取材に応じたようだ。代表取材社の一部は参加できたが、日頃から政権に批判的なCNNやニューヨーク・タイムズなどは外された。もちろんテレビカメラも入ることもできず、いつものような中継もなかった。
情報によると、AP通信社は抗議のため欠席。代表取材社のうち、ロイター通信社やブルムバーグ社は出席したが、同じ代表取材社のAFP通信は拒否された。AFPは、断られたにも関わらず現場に侵入して報道した模様だ。
民主主義国家では、首相や大統領などの権力者と、メディアは対立関係にあるのが普通だ。権力者の言い分だけを聞くようなメデイアは、中国や北朝鮮など一部の独裁国家だけだ。いい意味で、両者は常に緊張関係を保つのが望ましい。
トランプ大統領は、気に入らない報道に対し、「情報源を明らかにせよ」などと迫っているらしいが、報道機関に対する知識は皆無に等しい。情報源は、情報の性格にもよるが、屢々匿名で報道される。
情報源を明らかにしないことを前提に、情報を漏らすケースはよくある。「・・筋によると」などと伝えられるのは、非公式な場での要人発言などに多い。発言内容に腹を立て、「誰が言ったんだ」などと聞くのは愚かなことだ。記者が、情報源を明らかにすることは、まずないと考えておいた方がよい。
情報が間違っていれば、別のメデイアが否定報道する。事実であっても、プライバシーに関わるようなものなら、法的手段に訴えればよい。報道内容に直接批判を浴びせたり、報道規制するなどは愚の骨頂だ。トランプ政権は、大きな勘違いをしている。
by everyoung
| 2017-02-25 18:30
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