2017年 04月 06日
中途半端 |
JRが先頃、民営化されて30周年を迎えた。貨物を含め7社に分割・民営化、競争原理が導入された。国鉄時代の赤字を解消し、経営の多角化などで合理化を進め、全体の収入を伸ばした。運輸外での収入も7社合計で国鉄時代の10倍にも達している。
国営企業を民営化する場合、地域で分割するか、事業で分割するかのケースがある。前者の場合、電力やガス、国鉄などがある。後者では、電電公社や郵政などの例がある。いずれの場合でも、線引きにより不公平が生じ、様々な問題を露呈している。
国民生活に直結するインフラ事業は、規模が膨大過ぎて、そのまま民営化した場合、圧倒的に有利な立場にある。他の民間業者との公正な競争を促すには、適正規模となる何らかの分割が必要とされる。問題は、分割による内部格差が逆に生じるという点だ。
地域分割により、JR間の競争が強まり、利用者へのサービス向上や収益性が改善された半面、赤字路線の廃線など落ちこぼれる部分が無視できなくなっている。JR東日本は、新幹線や都心などの人口密集地域にあり、売上高は2兆8000億円に達している。比較的儲かっている東海や西日本でも、その半分程度だ。
条件のよい所は、何をやっても稼げるが、そうでない所は四苦八苦の状態だ。分割による会社間の体力差は明々白々で、麻生太郎副総理は、「黒字会社と赤字会社の合併とかのアイデアはある」と述べている。それなら、はじめから分割などしないで、丸ごと民営化すべきだ。
おかしなのは郵政だ。小泉純一郎の鳴り物入りで実現したが、未だ、政府が80%以上の株を所有、民営化とは言い難い。事業分割して、現在は日本郵政を持ち株会社として、①かんぽ②ゆうちょ③日本郵便の3社を傘下にした4社体制となっている。
日本郵便は、当初の郵便局と郵便事業を合体させたものだが、これ分野が収益の足を引っ張っている。全国津々浦々までネットワークを維持しているため、合理化が進め難く、コストが増大傾向にある。
民営化するなら徹底的にやるべきだ。広域サービスや社会性の面から、あちこちに規制を課したり、義務を負わせるなど、「手足を縛って泳げ」と言っても無理な話だ。JRについてもそうだが、非採算性の部門はどんどん切り捨てるべきだ。民間企業が赤字部門を背負い込む必要はない。
山間僻地や過疎地域での赤字路線の廃止や、郵便局の閉鎖などで国民生活上支障が生じれば、国や自治体で対応することを考えなければならない。民間企業が、社会福祉的な事業まで引き受ける立場にはない。
by everyoung
| 2017-04-06 10:21
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