2017年 04月 25日
どう折り合うか |
フランス大統領選の第1回投票で、現職閣僚を辞任して選挙に臨んだ独立系中道派のマクロン氏がトップに立ち、2位の右翼・国民戦線のルペン氏と5月7日の決選投票で争うことになった。左右両派の二大政党が推した候補はいずれも敗退。異例の事態となった。
第1回投票で敗れた、中道右派のフィヨン氏と左派のアモン氏は、いち早くマクロン氏支持を表明した。事前の現地世論調査では、決戦でもマクロン氏が圧倒的な大差を付けるとの予想が出ているが、「隠れ票」の行方次第でどうなるかはわからない情勢だ。
決戦に進む両候補の政策には極端な違いがある。マクロン氏は、欧州連合(EU)の統合推進派で、国際協調を基本にしている。マクロン氏が大統領になれば、フランスの政策が大きく変わる可能性は低い。どちらかと言えば、現状を維持しながらの改革となろう。
ルペン氏は、父親時代からの徹底的な国粋主義者で、当選すれば、EU離脱を国民投票に問う考えで、自由な貿易にも否定的だ。移民、難民は「テロの温床」として、排除する方針だ。米国のトランプ大統領と同様に「フランス第一」を唱えている。
仮に、ルペン氏が大統領に就任。国民投票でEUからの離脱が決まれば、英国に続く異常事態になり、ドイツの孤立が避けられない。英仏抜きでは、EUそのものの存在意義が薄れ、解体の危機となろう。
英仏とも、旧宗主国の「義務」として多くの移民を受け入れている。フランスの場合は、アルジェリア系やモロッコ系が目立ち、長年安い労働力として重宝している面がある。一方で、宗教や民族、文化などの違いから摩擦も生じ、テロなどの社会不安の原因にもなっている。植民地時代の「ツケ」に起因するものだ。
世界の争いごとの主な要因は、宗派抗争や民族紛争が大半だ。価値観の異なる人種が一緒に暮らすには、相当な妥協や協力が必要だが、限界があるのは事実だ。ちょっとした切っ掛けで暴発する危険性を常に孕んでいる。
ワガハイは、移民や難民の受け入れには反対ではないが、一定の基準を設け、慎重にすべきだとの意見だ。バランスが崩れると同質化社会を形成するのは困難だ。そもそも、自国の発展や改革に尽力せず、他国に幸せを求めること自体がおかしい。
経済関係は別だ。モノやカネは、国境を越えて世界を動き回っている。それぞれの国の特長を生かしながら、分業体制が進み、持ちつ持たれつの関係にある。世界から孤立して、自国だけで繁栄しようとする考えは間違いだ。
トランプ氏は、保護主義に固執しているが、いずれ実態を知り、修正を余儀なくなれるであろう。かつて中国は、閉鎖の限界を悟り、開放へ進む道を選んだ。今では、共産主義者としては考えられないような政策を展開している。フランス人は、少なくとも経済については、孤立する道を選ばない方が賢明であろう。
by everyoung
| 2017-04-25 10:35
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