2017年 08月 11日
我慢比べ |
北朝鮮は、着実に核弾頭ミサイルの開発を進めているようだ。これに対し、トランプ米政権は、中国を含めた経済制裁の強化で対応しているが、口ほどに今ひとつ成果が伴っていない。暫くは、核・ミサイル開発と制裁効果の綱引きが続きそうだ。
国際世論や国連決議を無視して、北朝鮮は繰り返しミサイルの発射実験を断行している。今度は、日本列島を飛び越してグアム周辺の海域にまで飛ばす計画を明らかにしている。本当にやるかどうかは予断を許さないないが、少なくとも態勢は調えていると言える。
計画では、飛行ルートや飛行時間、着弾目標を公表している。敵地への「攻撃」ではなく、あくまでも「実験」であることを強調したものだ。打ち上げ直前には、日時や具体的危険水域も明確にし、他国を侵害しない範囲でミサイルを飛ばすだけなら、国際法違反には問われないであろう。
トランプ氏がいくら怒っても、北朝鮮が計画している今度のミサイル発射は、「急迫不正」には当たらないことになる。国際法上は、自衛権を発動して撃ち落とすことはできない。当然ながら、先制攻撃を掛けたり、報復攻撃はもってのほかだ。
小野寺五典防衛相は、集団的自衛権により、米国へ向けて飛行するミサイルを中途で撃墜する可能性を否定していないが、北朝鮮が計画通りにミサイルと飛ばしている限り行使はできない。自衛権の範囲を逸脱するからだ。
具体的な数値を上げて北朝鮮が予告しているのを見ると、相当な自信があるものと推定される。仮に予告を外れて、航空機や船舶に被害を与えたり、飛行ルートに狂いが発生、米領土や領海を侵害するような場合は話が別だ。そうなれば、恐らく北朝鮮は「実験」のミスを認めて戦闘への突入を回避。損害賠償の道を選択するであろう。居直って、「危険水域や空域に相手が勝手に入った」と言っても、通じないであろう。後は国連がどう判断するかだ。
米国は、キムジョンウンの一挙手一投足を常時把握しているものと見られる。決断すれば、クビを取って戦力を破壊することはできなくはない。その場合に、問題となるのは無傷では済まないことだ。今のところ、犠牲者まで出して敢えて攻撃に踏み切るまでには至っていない。
今、米国ができることは、経済制裁を強めて北朝鮮の核やミサイル開発にブレーキを掛けることだ。逆に北朝鮮にとっては、経済制裁が奏功しないうちに開発にメドを付けなければならない。どちらが早いかを、双方が競っている状態にある。
北朝鮮は、今のところ実験以上のことまではできない。即、体制の崩壊に繋がるからだ。核やミサイルの配備が調えば、外交手段に切り替える可能性がある。アクシデントがあるとすれば軍の暴発であろう。
一方の米国は、口実さえできれば、いつでも攻撃に踏み切ることは可能だが、制裁で締め上げた方が効き目があると判断している模様だ。ロシア疑惑などでトランプ氏が追い込まれた場合、一気に北朝鮮潰しに走ることも考えられる。大災害などの発生を機に、「虚」を突くのが攻撃の常套手段だ。
(4月「ほめ殺し」など参照)
by everyoung
| 2017-08-11 10:24
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