2018年 01月 18日
当然の主張 |
中川雅治環境相は、中国電力の石炭火力発電所建設計画に「待った」を掛けた。地球温暖化対策と相容れないもので、「容認できない」との意見書を世耕弘成経産相に提出した。中国電力に限らず、全国で石炭火力発電所が増える傾向にあり、懸念すべき事態だ。
現在、石炭火力による発電所計画は40基程度ある。福島の原発事故により、原発の稼働停止が続き、石炭火力への依存度が増大。すでに全体の3割強を担っている。石炭火力は、政府のエネルギー基本計画でも重要な位置づけとなっている。
温室効果ガスの削減目標は、30年度に13年度比で26%減とすることになっている。計画通り40基全てが稼働すると、石炭火力の削減目標を約7000万トンも上回る計算となる。環境相が歯止めを掛けるのは当然のことだ。
小泉純一郎元首相や細川護熙元首相らが中心となり、「原発ゼロ、自然エネルギー基本法案」なるものを先に発表した。両氏が顧問を務める民間団体「原発ゼロ、自然エネルギー推進連盟」の作成した資料を基にしている。
法案では、原発を即時停止して、再稼働や新増設を禁止。50年までに再生可能エネルギーで賄うことを内容としている。両氏は、今後同調が予想される立憲民主党などとも連携して実現を目指す考えだ。
ワガハイは、過去に何度も指摘したが、原発を限りなくゼロにすることには、原則的に賛成だが、「即時ゼロ」とするのは実態を無視した愚かな発想だ。安全性を確かめながら原発を稼働。その間に再生可能エネルギーや、二酸化炭素の排出量が少ない天然ガスへの依存を高めながら徐々に軌道修正するしかない。原発を即時停止して、その代わりに石炭火力を増大するのは、「殺人」を推進するに等しい。
課題や問題点を指摘し、理想を掲げるのはバカにでもできる。重要なことは、どうやって実現するかだ。小泉氏などの発想には、具体的なプロセスが欠けている。福島の原発事故以来、政府の後押しなどもあって再生可能エネルギーが増えつつあるのは事実だが、全体としての割合は微々たるものだ。ベースロードとして重要な位置づけとなるには相当な時間が必要だ。その間に、「人殺し」がどんどん進むようでは、本末転倒である。
(15年4月「深刻な事態」同「全体像が必要」、同6月「どっちが危険」、同11月「茹でガエル現象」など参照)
by everyoung
| 2018-01-18 10:48
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