2008年 05月 09日
タンデム体制 |
米国の大統領は、任期が来れば確実に交代する。ブッシュが、一線を退いた後まで影響力を行使することはあり得ない。クリントンのように、ヨメが取って代わろうとする場合はあるが、これは異例である。それに比べると、ロシアのプーチンは国情の違いがあるとはいえ往生際が悪い。
ロシアの大統領はメドベージェフに交代した。プーチンは、退くどころか首相として残り、与党の党首にもなった。大統領は国家元首であり、形式的にはメドベージェフが表の顔となる。大統領は代わったものの、前大統領が首相や党首の座にいる限り、大統領の自由度は制限されることになりそうだ。
「二人乗り(タンデム)の自転車」と言われる所以だが、ロシアの歴史を見ると、そう珍しくはない。エリツィン・ゴルバチョフ体制もそうだ。その前のフルシチョフ時代には「トロイカ体制」と呼ばれていた。王朝時代も似たような権力構造があった。
プーチンもメドベージェフも、同じサンクトペテルブルグの出身だ。プーチンがKGB職員だったのに対し、メドベージェフは学者だ。プーチンは柔道の愛好家で、親日的な色彩が強い。メドベージェフについては未知数だ。ガスプロムの会長をしており、国益優先の外交を展開する可能性が強い。
日本にとっては、最大の懸案事項は北方領土の返還である。誰が権力の座につこうが、これが解決しない限りは日露の関係改善はあり得ない。領土問題の原点は、1854年の日露和親条約と、それに続く1875年の樺太・千島の交換条約である。特に後者は、ロシア側が提案したとされている。
太平洋戦争の終結直前のどさくさに紛れて、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して参戦。「戦勝国」として権利を主張、日本固有の領土である4島まで奪ってしまった。国際法的に見ても、返還するのは当然である。
吉田茂内閣から鳩山一郎内閣時代にかけての戦後処理で、いったん歯舞、色丹だけが返還されそうになった経緯がある。この案は反対論が強く、結局反故にされた。あくまで「4島ワンセット」で押し通したことは好判断であったと言えよう。
メドベージェフは、プーチンより相当手強い相手である。ロシアは幸運にも今、天然ガスや石油価格の高騰などで経済は一息ついている。一方で周辺国とのトラブルは絶えず、国内的にも格差の拡大や物価の高騰など内憂外患に直面している。ロシアが、順風満帆の状態では領土問題で譲歩することはない。日本にとっては、ロシアの弱点をじっくり攻めていくしかない。
ロシアの大統領はメドベージェフに交代した。プーチンは、退くどころか首相として残り、与党の党首にもなった。大統領は国家元首であり、形式的にはメドベージェフが表の顔となる。大統領は代わったものの、前大統領が首相や党首の座にいる限り、大統領の自由度は制限されることになりそうだ。
「二人乗り(タンデム)の自転車」と言われる所以だが、ロシアの歴史を見ると、そう珍しくはない。エリツィン・ゴルバチョフ体制もそうだ。その前のフルシチョフ時代には「トロイカ体制」と呼ばれていた。王朝時代も似たような権力構造があった。
プーチンもメドベージェフも、同じサンクトペテルブルグの出身だ。プーチンがKGB職員だったのに対し、メドベージェフは学者だ。プーチンは柔道の愛好家で、親日的な色彩が強い。メドベージェフについては未知数だ。ガスプロムの会長をしており、国益優先の外交を展開する可能性が強い。
日本にとっては、最大の懸案事項は北方領土の返還である。誰が権力の座につこうが、これが解決しない限りは日露の関係改善はあり得ない。領土問題の原点は、1854年の日露和親条約と、それに続く1875年の樺太・千島の交換条約である。特に後者は、ロシア側が提案したとされている。
太平洋戦争の終結直前のどさくさに紛れて、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して参戦。「戦勝国」として権利を主張、日本固有の領土である4島まで奪ってしまった。国際法的に見ても、返還するのは当然である。
吉田茂内閣から鳩山一郎内閣時代にかけての戦後処理で、いったん歯舞、色丹だけが返還されそうになった経緯がある。この案は反対論が強く、結局反故にされた。あくまで「4島ワンセット」で押し通したことは好判断であったと言えよう。
メドベージェフは、プーチンより相当手強い相手である。ロシアは幸運にも今、天然ガスや石油価格の高騰などで経済は一息ついている。一方で周辺国とのトラブルは絶えず、国内的にも格差の拡大や物価の高騰など内憂外患に直面している。ロシアが、順風満帆の状態では領土問題で譲歩することはない。日本にとっては、ロシアの弱点をじっくり攻めていくしかない。
by everyoung
| 2008-05-09 19:22
| 言いたい放題
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