2009年 05月 22日
異例発言 |
ドルの対円相場が一時、1ドル=100円まで進んだが、このところ再び反落基調が目立っている。円側に特に強材料があるわけではない。専ら、ドルに対する信認が揺らいでいるためだと見られる。きょう朝方には一瞬、ドルが93円台まで下げる場面があった。
朝方の閣議後の記者会見で、与謝野馨財務・金融・財政政策担当相が、為替介入を明確に否定する発言をした。このことが、相場動向にどの程度直接的な影響を与えたのかは検証していない。この発言は極めて異例だ。同相は為替介入について、「現時点では考えの外」と語ったと伝えられる。
外国為替市場へ介入するかどうかは、まず財務省が判断して日本銀行が実行する。与謝野大臣は、通貨当局の長である。決定権のある当時者が、介入を実施「する」とか「しない」とかは普通は言わない。少なくともワガハイは、これまでに聞いたことがない。
変動相場制の下では、為替相場は自由に上げ下げする。時に行き過ぎることがあるが、原則的には市場に委ねられている。通貨当局が介入する場合は、為替の水準を訂正するのが目的ではない。あくまでも「急激」な変動を避けるためのものだ。どの程度を「急激」とするかは、はっきりしたモノサシがない。
市場はかなりの部分、思惑で動く傾向にある。通貨当局者が介入を「する」とか「しない」とか言明すれば、それを前提に相場が一方向に動き、混乱を来す可能性がある。昔、金融政策の手段として公定歩合が注目されていた頃があった。当局者は、公定歩合については「ウソ」をついてもよいとか言われていた。為替介入では、「ウソ」でも「ホント」でも、触れないのが原則だ。
通貨当局者は、介入を「する」「しない」は言ってはならないが、それを推測する発言はよくある。例えば、「今の相場は行き過ぎている」「急激な円高は好ましくない」などといったコメントだ。これは、介入の是非に直接言及してはいないが、聞き方によっては「介入があるかもしれない」というメッセージとして受けとめられることになる。所謂「口先介入」だ。
今回の与謝野大臣の発言は、タブーを破ったものだが、世間ではそれほど大騒ぎにはならなかったようだ。与謝野大臣の真意はわからないが、ポイントは「現時点」にあるかもしれない。「現時点」で「考えの外」であって、午後や明日になって介入を実施してもおかしくはないのだ。
要人発言は、聞く方で勝手に解釈する傾向がある。「大変だ」と騒げば、大変になる。聞き流してしまえば「何でもない」こともある。市場関係者の中には、自己のポジションを意識して、有利な発言なら材料視して持って回るものもいる。もちろん空振りになるケースも多い。虚業の世界は、力関係による騙し合いの場でもある。
朝方の閣議後の記者会見で、与謝野馨財務・金融・財政政策担当相が、為替介入を明確に否定する発言をした。このことが、相場動向にどの程度直接的な影響を与えたのかは検証していない。この発言は極めて異例だ。同相は為替介入について、「現時点では考えの外」と語ったと伝えられる。
外国為替市場へ介入するかどうかは、まず財務省が判断して日本銀行が実行する。与謝野大臣は、通貨当局の長である。決定権のある当時者が、介入を実施「する」とか「しない」とかは普通は言わない。少なくともワガハイは、これまでに聞いたことがない。
変動相場制の下では、為替相場は自由に上げ下げする。時に行き過ぎることがあるが、原則的には市場に委ねられている。通貨当局が介入する場合は、為替の水準を訂正するのが目的ではない。あくまでも「急激」な変動を避けるためのものだ。どの程度を「急激」とするかは、はっきりしたモノサシがない。
市場はかなりの部分、思惑で動く傾向にある。通貨当局者が介入を「する」とか「しない」とか言明すれば、それを前提に相場が一方向に動き、混乱を来す可能性がある。昔、金融政策の手段として公定歩合が注目されていた頃があった。当局者は、公定歩合については「ウソ」をついてもよいとか言われていた。為替介入では、「ウソ」でも「ホント」でも、触れないのが原則だ。
通貨当局者は、介入を「する」「しない」は言ってはならないが、それを推測する発言はよくある。例えば、「今の相場は行き過ぎている」「急激な円高は好ましくない」などといったコメントだ。これは、介入の是非に直接言及してはいないが、聞き方によっては「介入があるかもしれない」というメッセージとして受けとめられることになる。所謂「口先介入」だ。
今回の与謝野大臣の発言は、タブーを破ったものだが、世間ではそれほど大騒ぎにはならなかったようだ。与謝野大臣の真意はわからないが、ポイントは「現時点」にあるかもしれない。「現時点」で「考えの外」であって、午後や明日になって介入を実施してもおかしくはないのだ。
要人発言は、聞く方で勝手に解釈する傾向がある。「大変だ」と騒げば、大変になる。聞き流してしまえば「何でもない」こともある。市場関係者の中には、自己のポジションを意識して、有利な発言なら材料視して持って回るものもいる。もちろん空振りになるケースも多い。虚業の世界は、力関係による騙し合いの場でもある。
by everyoung
| 2009-05-22 11:50
| 言いたい放題
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