2009年 10月 13日
効果疑問 |
亀井静香郵政・金融担当相が喚いていた「返済猶予法案」の骨格が、漸く出来上がり公表された。臨時国会に、「貸し渋り・貸し剥がし対策法案(仮称)」として提出される模様だ。大騒ぎした割には、対象となる中小企業側では、必ずしも有り難がってはいない。副作用が心配だからだ。
ワガハイは当初、返済猶予を強制するのはおかしい。もしするなら、政府の保証がなければならない旨、指摘した(9月「愚の骨頂」参照)。この件については、条件変更を「努力目標」に留め、返済猶予した元利には政府保証を付けることで決着した。銀行経営には、さほど負担が伴なわない内容だが、焦げ付けば今度は納税者に付けが回ることになる。
中小企業に対する「貸し渋り」対策として、1998年から2001年にかけて「特別保証制度」というのがあった。この時は条件が緩く、借り手側に「モラル・ハザード」を招いたと言われている。その後、昨年の秋のリーマンショックと原油価格の急騰を受け、中小企業資金繰り対策として「緊急保証制度」が設けられた。
この制度では、長期固定の低利融資が受けられ、信用保証協会が債務を100%保証することになっている。保証枠は、当初6兆円だったが20兆円に拡大。さらに今年度補正予算で30兆円に増えた。9月末時点での承認実績は15兆円近くにまで達している。これにより中小企業の多くは、当面の資金繰りから救済されているのが実態だ。
「緊急保証制度」では、貸し手側にとって取り逸れがないために、「貸し渋り」どころか金融機関が貸し付け競争を展開したほどだ。これが行き過ぎると、新たな「モラル・ハザード」になりかねない。現状では、「緊急保証制度」は概ね順調に稼働しており、中小企業からの評価も高い。
新法が成立しても、貸し付け条件が厳しくなったり、借り手側が対外的な信用力低下を怖れて、返済猶予を申し出ないことも大いにあり得る。仮に条件変更が認められても、借金が棒引きになるわけではない。いずれ元利とも返さなければならない。
大事なのは、最長3年間の返済猶予の間に中小企業が立ち直ることができるかだ。新法が、どれほどの効果があるかは極めて疑問だ。むしろ中小企業の仕事が、どんどん増えるような景気対策を打っていくのが先決だろう。景気が良くなれば、新たな資金需要が増大するし、返済にもカネが回っていくことになる。民主党政権は、基本的なところで何か勘違いしているような気がする。
ワガハイは当初、返済猶予を強制するのはおかしい。もしするなら、政府の保証がなければならない旨、指摘した(9月「愚の骨頂」参照)。この件については、条件変更を「努力目標」に留め、返済猶予した元利には政府保証を付けることで決着した。銀行経営には、さほど負担が伴なわない内容だが、焦げ付けば今度は納税者に付けが回ることになる。
中小企業に対する「貸し渋り」対策として、1998年から2001年にかけて「特別保証制度」というのがあった。この時は条件が緩く、借り手側に「モラル・ハザード」を招いたと言われている。その後、昨年の秋のリーマンショックと原油価格の急騰を受け、中小企業資金繰り対策として「緊急保証制度」が設けられた。
この制度では、長期固定の低利融資が受けられ、信用保証協会が債務を100%保証することになっている。保証枠は、当初6兆円だったが20兆円に拡大。さらに今年度補正予算で30兆円に増えた。9月末時点での承認実績は15兆円近くにまで達している。これにより中小企業の多くは、当面の資金繰りから救済されているのが実態だ。
「緊急保証制度」では、貸し手側にとって取り逸れがないために、「貸し渋り」どころか金融機関が貸し付け競争を展開したほどだ。これが行き過ぎると、新たな「モラル・ハザード」になりかねない。現状では、「緊急保証制度」は概ね順調に稼働しており、中小企業からの評価も高い。
新法が成立しても、貸し付け条件が厳しくなったり、借り手側が対外的な信用力低下を怖れて、返済猶予を申し出ないことも大いにあり得る。仮に条件変更が認められても、借金が棒引きになるわけではない。いずれ元利とも返さなければならない。
大事なのは、最長3年間の返済猶予の間に中小企業が立ち直ることができるかだ。新法が、どれほどの効果があるかは極めて疑問だ。むしろ中小企業の仕事が、どんどん増えるような景気対策を打っていくのが先決だろう。景気が良くなれば、新たな資金需要が増大するし、返済にもカネが回っていくことになる。民主党政権は、基本的なところで何か勘違いしているような気がする。
by everyoung
| 2009-10-13 21:23
| 言いたい放題
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