2010年 06月 14日
衛星帰還 |
日本の小惑星探査衛星「はやぶさ」が、7年ぶりに地球に帰還した。本体は大気圏に突入の際に燃え尽きたが、事前に切り離したカプセルは、どうやら無事に着地したもようだ。小惑星「イトカワ」の砂が採取できたかどうかは、今のところ不明だが、仮にカプセルが空っぽでも大きな成果だ。
諸外国の宇宙技術は、軍事目的から発展した経緯がある。軍事には巨額の予算がつぎ込まれ、これから派生した民生技術も多い。日本は、純粋な科学目的で進められ、予算や人材面でも限界がある。「はやぶさ」は、その中でコツコツ積み上げた技術の集約である。
「はやぶさ」には、飛行中に数多くの障害が発生した。姿勢制御のトラブルや燃料漏れなどで、帰還予定が3年も延びてしまった。エンジンや電池の寿命も尽きて、一時は帰還どころか追跡もできない状態にあった。「イトカワ」への着地では、弾丸を打ち込んで、跳ね上がった石を採取する計画であったが、その装置が機能せず、着地時に舞い上がった砂が、どの程度カプセルの中に採取できたかどうかに期待が寄せられている。
日本の自動制御技術は世界一だ。「おもちゃ」の世界でさえ、相当高い技術が採用されている。社会主義国家や後進国が、日本の「おもちゃ」を買いあさって分解、技術を盗んでいるのはそのためだ。高い水準にありながら、一連の「はやぶさ」の活動で、予想外のトラブルがなぜ発生したのか。障害を順次克服して、小惑星を往復したのは大きな成果であることには間違いないが、多くの教訓も得たはずだ。
宇宙工学の分野で忘れてはならないのは、糸川英夫博士だ。日本の宇宙分野への参入は、同氏の「ペンシルロケット」から始まった。ワガハイの会社の先輩にA氏がいた。大学で航空工学を専攻。糸川氏らとロケットの研究開発を進めていた。敗戦で挫折。新橋の赤提灯で安酒を呑んでいたところを、会社の幹部にスカウトされ、畑違いの分野で社員となった。
A氏は一時、ワガハイの上司でもあった。サラリーマンとしては大成せずに終わったが、夢のある話を多く聞かせてもらった想い出がある。世が世なら、航空宇宙分屋の一線で活躍したのかもしれない。戦前の日本の軍部は理系を優遇した。それが礎をなり、今日の技術立国をつくったと言っても過言ではない(06年2月「ネ20性能」参照)。にもかかわらず、戦後はむしろ人文系を重視した。資源のない日本の生きる道は技術しかない。「はやぶさ」が、技術分野の発展にさらなる影響を与えてくれれば幸いである。
諸外国の宇宙技術は、軍事目的から発展した経緯がある。軍事には巨額の予算がつぎ込まれ、これから派生した民生技術も多い。日本は、純粋な科学目的で進められ、予算や人材面でも限界がある。「はやぶさ」は、その中でコツコツ積み上げた技術の集約である。
「はやぶさ」には、飛行中に数多くの障害が発生した。姿勢制御のトラブルや燃料漏れなどで、帰還予定が3年も延びてしまった。エンジンや電池の寿命も尽きて、一時は帰還どころか追跡もできない状態にあった。「イトカワ」への着地では、弾丸を打ち込んで、跳ね上がった石を採取する計画であったが、その装置が機能せず、着地時に舞い上がった砂が、どの程度カプセルの中に採取できたかどうかに期待が寄せられている。
日本の自動制御技術は世界一だ。「おもちゃ」の世界でさえ、相当高い技術が採用されている。社会主義国家や後進国が、日本の「おもちゃ」を買いあさって分解、技術を盗んでいるのはそのためだ。高い水準にありながら、一連の「はやぶさ」の活動で、予想外のトラブルがなぜ発生したのか。障害を順次克服して、小惑星を往復したのは大きな成果であることには間違いないが、多くの教訓も得たはずだ。
宇宙工学の分野で忘れてはならないのは、糸川英夫博士だ。日本の宇宙分野への参入は、同氏の「ペンシルロケット」から始まった。ワガハイの会社の先輩にA氏がいた。大学で航空工学を専攻。糸川氏らとロケットの研究開発を進めていた。敗戦で挫折。新橋の赤提灯で安酒を呑んでいたところを、会社の幹部にスカウトされ、畑違いの分野で社員となった。
A氏は一時、ワガハイの上司でもあった。サラリーマンとしては大成せずに終わったが、夢のある話を多く聞かせてもらった想い出がある。世が世なら、航空宇宙分屋の一線で活躍したのかもしれない。戦前の日本の軍部は理系を優遇した。それが礎をなり、今日の技術立国をつくったと言っても過言ではない(06年2月「ネ20性能」参照)。にもかかわらず、戦後はむしろ人文系を重視した。資源のない日本の生きる道は技術しかない。「はやぶさ」が、技術分野の発展にさらなる影響を与えてくれれば幸いである。
by everyoung
| 2010-06-14 10:04
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