2010年 11月 07日
機密情報 |
尖閣諸島での中国漁船衝突現場を撮影した映像がネットに流出、大騒ぎとなっている。ワガハイは、映像そのものの価値はすでに薄れており、世間に広く遍く伝播しても、それほどのダメージはないものと考えている。それよりも、管理された情報がいとも簡単に漏洩することは由々しき事態である。
衝突現場の映像については、野党などが公開を強く要請。政府は、対中国関係を意識して全面公開を渋った。代わりに国会の予算委員会メンバーに対し、編集された一部映像を見せることで事態の収拾を図ろうとした。映像はその前にも関係者が見ており、すでに機密情報としての位置付けではなくなっている。
政府としては、管理情報の扱いが杜撰だったことについて責めを負うのは当然だが、公開するかしないかでの与野党の争点が一つ消えたことになる。この点では、犯人に助けられた格好だ。中国に対しても、政府が公開したのではなく、犯罪として漏洩したとすれば言い訳が立つ。
中国側の反応は、今のところ概ね冷静だ。公に文句を言えば、「出して欲しくない映像だった」ことが明確になる。公式には「中国領内での偶発的事故」であり、非は「領海内にいた日本の海上保安庁側にある」としておかざるを得ない。せいぜいネット上やブログで日本側の「捏造説」や、中国側の「被害者説」などが飛び交う程度だ。
映像流出の犯人は絞られて来ており、そう遠くない時期に捕まる可能性が強い。映像自体は、「過去の出来事」である。対中関係においても、これが原因でさらなる悪化を招くことは予想しにくい。そもそもが、相手との喧嘩が盛り上がった時に、出すモノを出さないからこんな事件が起こるのだ。(10年10月「引き算の世界」参照)
重要視すべきは、これに先立って発生した国際テロ関連の資料流出だ。警視庁らが集めた協力者のヒアリング情報などが含まれており、公安当局の手の内がバレてしまう恐れがある。漁船衝突の現場映像は一過性だが、テロ情報は今後に尾を引く深刻な事件だ。
日本には機密保護法や防諜法はない。かつて一部国会議員が中心となって「スパイ防止法」を議員立法として提出したが、廃案となった経緯がある。国会が無制限に情報を管理すれば、中国や北朝鮮のような全体主義国家になってしまう。どこまで規制するかで議論が分かれるところだ。今回の流出事件を契機に、改めて国家情報の管理のあり方を再検討する必要がある。(07年6月「情報漏洩」参照)
衝突現場の映像については、野党などが公開を強く要請。政府は、対中国関係を意識して全面公開を渋った。代わりに国会の予算委員会メンバーに対し、編集された一部映像を見せることで事態の収拾を図ろうとした。映像はその前にも関係者が見ており、すでに機密情報としての位置付けではなくなっている。
政府としては、管理情報の扱いが杜撰だったことについて責めを負うのは当然だが、公開するかしないかでの与野党の争点が一つ消えたことになる。この点では、犯人に助けられた格好だ。中国に対しても、政府が公開したのではなく、犯罪として漏洩したとすれば言い訳が立つ。
中国側の反応は、今のところ概ね冷静だ。公に文句を言えば、「出して欲しくない映像だった」ことが明確になる。公式には「中国領内での偶発的事故」であり、非は「領海内にいた日本の海上保安庁側にある」としておかざるを得ない。せいぜいネット上やブログで日本側の「捏造説」や、中国側の「被害者説」などが飛び交う程度だ。
映像流出の犯人は絞られて来ており、そう遠くない時期に捕まる可能性が強い。映像自体は、「過去の出来事」である。対中関係においても、これが原因でさらなる悪化を招くことは予想しにくい。そもそもが、相手との喧嘩が盛り上がった時に、出すモノを出さないからこんな事件が起こるのだ。(10年10月「引き算の世界」参照)
重要視すべきは、これに先立って発生した国際テロ関連の資料流出だ。警視庁らが集めた協力者のヒアリング情報などが含まれており、公安当局の手の内がバレてしまう恐れがある。漁船衝突の現場映像は一過性だが、テロ情報は今後に尾を引く深刻な事件だ。
日本には機密保護法や防諜法はない。かつて一部国会議員が中心となって「スパイ防止法」を議員立法として提出したが、廃案となった経緯がある。国会が無制限に情報を管理すれば、中国や北朝鮮のような全体主義国家になってしまう。どこまで規制するかで議論が分かれるところだ。今回の流出事件を契機に、改めて国家情報の管理のあり方を再検討する必要がある。(07年6月「情報漏洩」参照)
by everyoung
| 2010-11-07 11:53
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