2011年 12月 01日
意図的な犯罪 |
昨今、殺人事件は日常茶飯事だ。犯人が捕まったり、裁判の結果がどうなったかは、特別な事件以外は一般にはそれほどの関心がない。何かあって新聞やテレビが取り上げると、「ヘー、そんなことがあったのか」という程度でしかない。他人はそれで済むが、当事者にとっては深刻な話だ。
25年前に福井市で発生した女子中学生の殺人事件は、冤罪に発展する可能性が強い。名古屋高裁が、元被告に対し再審決定を下した。元被告が本当に「シロ」となるかは、今のところでは判断できない。そうであるならば検察の大きなチョンボとなる。
福井事件の犯人とされたのは前川彰司氏。事件後1年経って逮捕された。1審では無罪だったが、2審で有罪。最高裁が上告を棄却して刑が確定。前川氏は、「犯人」として7年の刑に服し、すでに「罪」を償った。前川氏は、強制があったのかどうかは分からないが、自白もしていないし、一貫して無実を主張して来たのが特徴だ。
物的証拠は何もない。検察が決め手としたのは、参考人の供述だけだ。しかも別件で逮捕していた暴力団の発言が基になったもので、その内容もコロコロ変わった。「血痕が付いた男を匿った」、「逃走の車に血が付いていた」などの「証言」があったようだが、保身のための供述の疑いが強く、信憑性には乏しい。
問題となったのは、こうした参考人の供述だけを根拠にしたことと、検察にとって都合の悪いデータを公表しなかった点だ。前者については可視化の必要性が今後論議の的になるだろう。後者は、以前から指摘されてきたことだが、検察の特権だけを認めたけしからん話だ。
検察には捜査権があり、国家権力を背景に様々な事件関連情報を独占できる立場にある。根本的に被告を援護する側の弁護士とは情報格差がある。検察の背後には法務省がある。情報の全公開をしないのは、法務省が渋っているからだ。犯人に有利となったり、証拠の隠蔽に繋がることを恐れているためだ。
殺人事件で冤罪が確定した後になって、真犯人を捕まえるのは至難の技だ。今回のケースでも25年も経っている。改めて捜査をやり直すことは不可能に近い。殺人事件は、小沢一郎元民主党代表の政治資金裁判などとは異なり、必ず真犯人がいるということだ。
知能犯のような事件は、容疑者がシロかクロかの判断で済み、それ以上には拡大しない。シロとなったら、本人や関係者だの後始末でよい。殺人事件は、シロとなった後が問題だ。検察が都合の悪い情報を隠すことは、捕まえた容疑者が必ずしも「犯人」であることに確信が持てないからに他ならない。
検察が、手持ちの情報から判断して容疑者に対していささかの疑問を抱きながら、それを無視することは、真犯人を意図的に逃すに等しい。これは重大な犯罪である。世間では冤罪だけを大きく取り上げる傾向があるが、真犯人を逃した責任の方が遥かに大きい。事実、冤罪が確定した後に、真犯人が捕まったという例は、名乗り出でもしない限りほとんどない。被害者はどうすればよいのか。情報開示はもちろんだが、捜査のあり方も根本的に改めるべきだ。
25年前に福井市で発生した女子中学生の殺人事件は、冤罪に発展する可能性が強い。名古屋高裁が、元被告に対し再審決定を下した。元被告が本当に「シロ」となるかは、今のところでは判断できない。そうであるならば検察の大きなチョンボとなる。
福井事件の犯人とされたのは前川彰司氏。事件後1年経って逮捕された。1審では無罪だったが、2審で有罪。最高裁が上告を棄却して刑が確定。前川氏は、「犯人」として7年の刑に服し、すでに「罪」を償った。前川氏は、強制があったのかどうかは分からないが、自白もしていないし、一貫して無実を主張して来たのが特徴だ。
物的証拠は何もない。検察が決め手としたのは、参考人の供述だけだ。しかも別件で逮捕していた暴力団の発言が基になったもので、その内容もコロコロ変わった。「血痕が付いた男を匿った」、「逃走の車に血が付いていた」などの「証言」があったようだが、保身のための供述の疑いが強く、信憑性には乏しい。
問題となったのは、こうした参考人の供述だけを根拠にしたことと、検察にとって都合の悪いデータを公表しなかった点だ。前者については可視化の必要性が今後論議の的になるだろう。後者は、以前から指摘されてきたことだが、検察の特権だけを認めたけしからん話だ。
検察には捜査権があり、国家権力を背景に様々な事件関連情報を独占できる立場にある。根本的に被告を援護する側の弁護士とは情報格差がある。検察の背後には法務省がある。情報の全公開をしないのは、法務省が渋っているからだ。犯人に有利となったり、証拠の隠蔽に繋がることを恐れているためだ。
殺人事件で冤罪が確定した後になって、真犯人を捕まえるのは至難の技だ。今回のケースでも25年も経っている。改めて捜査をやり直すことは不可能に近い。殺人事件は、小沢一郎元民主党代表の政治資金裁判などとは異なり、必ず真犯人がいるということだ。
知能犯のような事件は、容疑者がシロかクロかの判断で済み、それ以上には拡大しない。シロとなったら、本人や関係者だの後始末でよい。殺人事件は、シロとなった後が問題だ。検察が都合の悪い情報を隠すことは、捕まえた容疑者が必ずしも「犯人」であることに確信が持てないからに他ならない。
検察が、手持ちの情報から判断して容疑者に対していささかの疑問を抱きながら、それを無視することは、真犯人を意図的に逃すに等しい。これは重大な犯罪である。世間では冤罪だけを大きく取り上げる傾向があるが、真犯人を逃した責任の方が遥かに大きい。事実、冤罪が確定した後に、真犯人が捕まったという例は、名乗り出でもしない限りほとんどない。被害者はどうすればよいのか。情報開示はもちろんだが、捜査のあり方も根本的に改めるべきだ。
by everyoung
| 2011-12-01 10:19
| ハラ立ち日記
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