2012年 01月 25日
取られのもと |
自民党の谷垣禎一総裁の昨今の言動を見ていると、解散・総選挙に向けての「本気度」が伝わって来るようになった。今国会は、荒れることは間違いないが、解散・総選挙となると、与野党とも勝ち目がないと踏み切れない。
野田佳彦首相は国会冒頭の所信表明演説で、消費税や社会保障制度改革についての福田康夫元首相や、麻生太郎元首相の演説を引用して野党への話し合いを呼びかけた。新聞論調も概ね事前協議に肯定的だが、ワガハイは国会の場で堂々と論議するのが筋だとの考えを持っている。
民主党は野にあった時代、自公政権からの呼びかけに応じなかった。攻守所を代えるなら、民主党はかつての言動に対する総括をまずすべきである。その上で、大同団結を呼びかけるべきだ。仮にそうしても、今の情勢では両者は噛み合わないだろう。
消費税の引き上げについては、これまでの経緯からして自民党は反対はできない。あくまでも「マニフェスト違反」を主張しているだけだ。これだけを繰り返し述べるだけでは、世論はついて来ない。いくら「本気度」を示しても、自民党に対する支持が伸びなければ、天下を取っても今の民主党と同じ苦労をするだけだ。
過去にも何度か取り上げたが、自民党の選挙戦術としてのベストシナリオは、解散・総選挙を迫るふりをして、限りなく参院選まで引きずり、一気に両院で過半数を制することだ。それには、選挙直前に民主党の支持率をボトムに追い込むと同時に、いくらかでも自民党支持率を引き上げておくことが不可欠だ。
これはワガハイの勝手な推測であったが、どうやらそうではなくなって来た。最大の理由は「大阪維新の会」の勢いだ。橋下徹市長が、国政への進出を狙っているのは明らかだ。次期総選挙までに時間稼ぎができると、態勢を調えることができる。そうでなければ、準備不足で大量の議席獲得は無理だ。
日本人は、時のムードに流れ易い国民性がある。かつては日本新党が躍進した。小泉(純一郎元首相)郵政改革や、その後の民主党への政権交代など見ても、浮動票や無党派層の動きが政界を左右する傾向がある。
谷垣氏が恐れているのは、「大阪維新の会」によって既成政党が沈没することだ。政権を一気に取るまではいかないまでも、自民党の一人天下を危うくする可能性がある。それなら、参院のねじれを残しながらも早めに勝負に出た方が得策と判断したのではないか。
このところの谷垣氏のこだわりは、かなり露骨である。囲碁の世界で「取ろう取ろうは取られのもと」という言葉がある。囲碁は白黒の石を、お互いに打って地を取るゲームだ。地は囲むだけでなく、相手の石を取れば、それも地になる。特に大石を絡め取って勝つと気分がよい。素人碁はそれが楽しみだ。
あせって敵のクビを取ろうとすると、「はっ」と気づいた時には、逆に取られていたということになりかねない。野田政権にとっても大勝負の場だが、谷垣氏も正念場で後に引けなくなった。一つ間違えば、自分が野たれ死にする運命にある。
野田佳彦首相は国会冒頭の所信表明演説で、消費税や社会保障制度改革についての福田康夫元首相や、麻生太郎元首相の演説を引用して野党への話し合いを呼びかけた。新聞論調も概ね事前協議に肯定的だが、ワガハイは国会の場で堂々と論議するのが筋だとの考えを持っている。
民主党は野にあった時代、自公政権からの呼びかけに応じなかった。攻守所を代えるなら、民主党はかつての言動に対する総括をまずすべきである。その上で、大同団結を呼びかけるべきだ。仮にそうしても、今の情勢では両者は噛み合わないだろう。
消費税の引き上げについては、これまでの経緯からして自民党は反対はできない。あくまでも「マニフェスト違反」を主張しているだけだ。これだけを繰り返し述べるだけでは、世論はついて来ない。いくら「本気度」を示しても、自民党に対する支持が伸びなければ、天下を取っても今の民主党と同じ苦労をするだけだ。
過去にも何度か取り上げたが、自民党の選挙戦術としてのベストシナリオは、解散・総選挙を迫るふりをして、限りなく参院選まで引きずり、一気に両院で過半数を制することだ。それには、選挙直前に民主党の支持率をボトムに追い込むと同時に、いくらかでも自民党支持率を引き上げておくことが不可欠だ。
これはワガハイの勝手な推測であったが、どうやらそうではなくなって来た。最大の理由は「大阪維新の会」の勢いだ。橋下徹市長が、国政への進出を狙っているのは明らかだ。次期総選挙までに時間稼ぎができると、態勢を調えることができる。そうでなければ、準備不足で大量の議席獲得は無理だ。
日本人は、時のムードに流れ易い国民性がある。かつては日本新党が躍進した。小泉(純一郎元首相)郵政改革や、その後の民主党への政権交代など見ても、浮動票や無党派層の動きが政界を左右する傾向がある。
谷垣氏が恐れているのは、「大阪維新の会」によって既成政党が沈没することだ。政権を一気に取るまではいかないまでも、自民党の一人天下を危うくする可能性がある。それなら、参院のねじれを残しながらも早めに勝負に出た方が得策と判断したのではないか。
このところの谷垣氏のこだわりは、かなり露骨である。囲碁の世界で「取ろう取ろうは取られのもと」という言葉がある。囲碁は白黒の石を、お互いに打って地を取るゲームだ。地は囲むだけでなく、相手の石を取れば、それも地になる。特に大石を絡め取って勝つと気分がよい。素人碁はそれが楽しみだ。
あせって敵のクビを取ろうとすると、「はっ」と気づいた時には、逆に取られていたということになりかねない。野田政権にとっても大勝負の場だが、谷垣氏も正念場で後に引けなくなった。一つ間違えば、自分が野たれ死にする運命にある。
by everyoung
| 2012-01-25 20:57
| 言いたい放題
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