2012年 04月 17日
がれき処理 |
東日本大震災が残したがれきの処理について、未だ見通しがついていない。政府は先月、40の道府県と政令都市に対し、処理の受け入れを要請したが、十分な解答が得られていない。「安全性に疑問」とする自治体が多いが、政府の説明がお粗末なことも背景にある。
特にがれきが多いのは、岩手県と宮城県だ。両県合わせて2045万トンのがれき処理が残っている。今の段階でも、処理済みは1割にも達していない。政府はこのうち400万トンを、全国で受け入れる「広域処理」に回し、2014年度末までに処理を終えようという考えだ。
受け入れ拒否の主な背景は、放射性物質に塗れたがれきを、全国にバラマクことについての警戒感だ。もともと岩手、宮城両県の空間放射線量はそれほど高くはない。政府は、がれき廃棄物の受け入れ限度(放射性セシウム濃度)を、1キログラム当たり240〜480ベクレルと設定している。この廃棄物を、焼却処理した後の灰で見ると、上限で同8000ベクレルとなる。灰の段階では濃縮されるために数値が上がることが実験で明らかになっている。政府は、このレベルでの埋め立てを可能としている。
この廃棄物を焼却して埋め立てた場合、人体に及ぼす放射線量は年間せいぜい0、01ミリシーベルトとされている。日本人が自然界から受けている放射線量は、年間1、48シーベルトであることを考えると、がれきから受ける放射線量は全く健康には問題のないレベルである。
放射線量に対する懸念は別として、なぜ「広域処理」が必要かだ。未処理のがれきの量は、地元で通常処理したとすれば、岩手県で11年、宮城県で19年も掛かる計算だ。復旧、復興を急ぐには、がれき処理に時間を掛けておれないというのが、その理由だ。
ほとんどの人が疑問を持つのは、地元での処理規模をどうして増やさないかだ。「広域処理」に回す分は、全体の20%弱に過ぎない。遠隔地に持って行って処理するには、膨大な手間もカネも必要だ。トラック輸送では、大量のガソリンを消費し、二酸化炭素を撒き散らすことになる。
逆に処理業者から見れば、笑いが止まらない。すでにこれを狙った「がれきビジネス」が盛んだとも言われている。同じカネを使うなら、地元が潤う方が良い。足らなければ、地元にどんどん焼却場を造ったり、埋め立て用の穴を掘った方が、雇用確保や地元経済の発展にも貢献する。
東京都は、いち早く受け入れに手を挙げたが、賢明な判断だ。焼却場には余裕があり、有効活用することで、カネも転がり込む。東京の「夢の島」は、そもそもは「ゴミの島」である。岩手県や宮城県も真似れば良い。
がれき処理は全額国費負担だ。カネさえ潤沢なら、地元に焼却場を急いで造ることも可能だ。空き地は山ほどあり、埋め立て候補地も簡単に探すこともできるはずだ。陸前高田市の市長は、地元に処理プラントを建設するよう提案したが、一蹴されたと聞く。恐らく規制や制限が多いからだろう。
放射性物質の拡散と健康への影響、地元処理の問題など、政府の説明は今ひとつ明快ではない。いつもそうだが、自ら不安を撒き散らして、後で始末に困っているのが現状だ。民主党政権の常用句は、「しっかり」と「ていねい」だ。何度聞かされたことか。ことばだけが空回りしている。
特にがれきが多いのは、岩手県と宮城県だ。両県合わせて2045万トンのがれき処理が残っている。今の段階でも、処理済みは1割にも達していない。政府はこのうち400万トンを、全国で受け入れる「広域処理」に回し、2014年度末までに処理を終えようという考えだ。
受け入れ拒否の主な背景は、放射性物質に塗れたがれきを、全国にバラマクことについての警戒感だ。もともと岩手、宮城両県の空間放射線量はそれほど高くはない。政府は、がれき廃棄物の受け入れ限度(放射性セシウム濃度)を、1キログラム当たり240〜480ベクレルと設定している。この廃棄物を、焼却処理した後の灰で見ると、上限で同8000ベクレルとなる。灰の段階では濃縮されるために数値が上がることが実験で明らかになっている。政府は、このレベルでの埋め立てを可能としている。
この廃棄物を焼却して埋め立てた場合、人体に及ぼす放射線量は年間せいぜい0、01ミリシーベルトとされている。日本人が自然界から受けている放射線量は、年間1、48シーベルトであることを考えると、がれきから受ける放射線量は全く健康には問題のないレベルである。
放射線量に対する懸念は別として、なぜ「広域処理」が必要かだ。未処理のがれきの量は、地元で通常処理したとすれば、岩手県で11年、宮城県で19年も掛かる計算だ。復旧、復興を急ぐには、がれき処理に時間を掛けておれないというのが、その理由だ。
ほとんどの人が疑問を持つのは、地元での処理規模をどうして増やさないかだ。「広域処理」に回す分は、全体の20%弱に過ぎない。遠隔地に持って行って処理するには、膨大な手間もカネも必要だ。トラック輸送では、大量のガソリンを消費し、二酸化炭素を撒き散らすことになる。
逆に処理業者から見れば、笑いが止まらない。すでにこれを狙った「がれきビジネス」が盛んだとも言われている。同じカネを使うなら、地元が潤う方が良い。足らなければ、地元にどんどん焼却場を造ったり、埋め立て用の穴を掘った方が、雇用確保や地元経済の発展にも貢献する。
東京都は、いち早く受け入れに手を挙げたが、賢明な判断だ。焼却場には余裕があり、有効活用することで、カネも転がり込む。東京の「夢の島」は、そもそもは「ゴミの島」である。岩手県や宮城県も真似れば良い。
がれき処理は全額国費負担だ。カネさえ潤沢なら、地元に焼却場を急いで造ることも可能だ。空き地は山ほどあり、埋め立て候補地も簡単に探すこともできるはずだ。陸前高田市の市長は、地元に処理プラントを建設するよう提案したが、一蹴されたと聞く。恐らく規制や制限が多いからだろう。
放射性物質の拡散と健康への影響、地元処理の問題など、政府の説明は今ひとつ明快ではない。いつもそうだが、自ら不安を撒き散らして、後で始末に困っているのが現状だ。民主党政権の常用句は、「しっかり」と「ていねい」だ。何度聞かされたことか。ことばだけが空回りしている。
by everyoung
| 2012-04-17 21:36
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