2013年 01月 24日
気に食わない |
自民、公明の両党が来年度の税制改正大綱を決めた。14年から始まる消費税の引き上げを睨んだ対応策が盛り込まれている。税負担を増やす項目と、減らす項目が混在。結論を先送りしたものもある。改正案には、いくつか気にいらない点がある。
その一つは贈与税だ。改正案では、祖父母がまとめて教育資金を孫に贈る場合、孫一人に1500万円までが非課税扱いになる。裕福なじいさん、ばあさんからカネを引き出そうという発想だ。その分、親の負担が軽減され、新たな消費に回れば全体として消費は増えるが、そうはならないだろう。
親が将来の不安に備えて、祖父母のお陰で使わずに済んだ資金を貯め込めば、消費支出には繋がらない。そもそも孫に1500万円も生前贈与する層は、相当のカネ持ちである。一部の富裕層を優遇するだけに終わる可能性が強い。相続税も贈与税も大幅に引き上げ、祖父母が資産を一代で使い切った方が有利な仕組みにすべきである(12年5月「消費拡大策」参照)。
二つ目は、二重課税として悪名高い自動車関連税制の扱いだ。取得税は、消費税が10%になる15年10月時点での廃止を決めた。購入時や車検の度に掛かる自動車重量税は、減税した上で道路特定財源に戻すとしていたが、最終的に特定復帰は撤回した。重量税は、ガソリン税(揮発油税)とともに、前の自民党政権時代に一般財源化された経緯がある。
一般財源化されたのは、トンカチ事業に対し、世間の批判が強かったためだ。道路建設や維持管理の予算を減らすなら、税そのものを減額すべきである。取るものはそのままにして、ロクな議論もしないまま一般財源化して目的を変えてしまった。受益者負担の原則から外れる措置である。折角の財源は、民主党時代には訳の分からないバラマキに消えた。
今回の重量税に対する特定財源化も、党内外からの圧力に抗しきれなかった。桁違いに額の大きいガソリン税についてもそのままだ。重量税とともに、早急に廃止するのが望ましい。さもなくば、一般財源化を打ち切るべきだ。本来の税の主旨からすれば、元に戻すのは当然である。自動車業界や道路族のためだけのものではない。税負担が極端に重い自動車ユーザーの問題である。(07年12月「特定財源」、08年1月「道路利権」、同3月「既得権益」など参照)
三つ目は、消費税引き上げに伴う「逆進性」への対応だ。14年4月の8%引き上げ時点から、低所得者に対しとりあえず「ゲンナマ」を配ることにしている。公明党が強く求めている軽減税率については、10%への引き上げ時の「導入を目指す」とした。先送りして曖昧にした点もあるが、インボイスなど環境整備が必要だ。
税には例外を設けない方がよい。一律に徴収した上で、低所得者に対しては別の政策で救済すればよい。民主党は政権時、軽減税率に反対していたが、ワガハイも同感だ。民主党は、代わりに給付や税控除を検討していたが、いずれについても共通番号など所得を把握する仕組みが伴わなければならない(12年6月「軽減税率は愚策」参照)。税は公平性が第一で、抜け穴対策を事前に講じておくことが大事だ。
その一つは贈与税だ。改正案では、祖父母がまとめて教育資金を孫に贈る場合、孫一人に1500万円までが非課税扱いになる。裕福なじいさん、ばあさんからカネを引き出そうという発想だ。その分、親の負担が軽減され、新たな消費に回れば全体として消費は増えるが、そうはならないだろう。
親が将来の不安に備えて、祖父母のお陰で使わずに済んだ資金を貯め込めば、消費支出には繋がらない。そもそも孫に1500万円も生前贈与する層は、相当のカネ持ちである。一部の富裕層を優遇するだけに終わる可能性が強い。相続税も贈与税も大幅に引き上げ、祖父母が資産を一代で使い切った方が有利な仕組みにすべきである(12年5月「消費拡大策」参照)。
二つ目は、二重課税として悪名高い自動車関連税制の扱いだ。取得税は、消費税が10%になる15年10月時点での廃止を決めた。購入時や車検の度に掛かる自動車重量税は、減税した上で道路特定財源に戻すとしていたが、最終的に特定復帰は撤回した。重量税は、ガソリン税(揮発油税)とともに、前の自民党政権時代に一般財源化された経緯がある。
一般財源化されたのは、トンカチ事業に対し、世間の批判が強かったためだ。道路建設や維持管理の予算を減らすなら、税そのものを減額すべきである。取るものはそのままにして、ロクな議論もしないまま一般財源化して目的を変えてしまった。受益者負担の原則から外れる措置である。折角の財源は、民主党時代には訳の分からないバラマキに消えた。
今回の重量税に対する特定財源化も、党内外からの圧力に抗しきれなかった。桁違いに額の大きいガソリン税についてもそのままだ。重量税とともに、早急に廃止するのが望ましい。さもなくば、一般財源化を打ち切るべきだ。本来の税の主旨からすれば、元に戻すのは当然である。自動車業界や道路族のためだけのものではない。税負担が極端に重い自動車ユーザーの問題である。(07年12月「特定財源」、08年1月「道路利権」、同3月「既得権益」など参照)
三つ目は、消費税引き上げに伴う「逆進性」への対応だ。14年4月の8%引き上げ時点から、低所得者に対しとりあえず「ゲンナマ」を配ることにしている。公明党が強く求めている軽減税率については、10%への引き上げ時の「導入を目指す」とした。先送りして曖昧にした点もあるが、インボイスなど環境整備が必要だ。
税には例外を設けない方がよい。一律に徴収した上で、低所得者に対しては別の政策で救済すればよい。民主党は政権時、軽減税率に反対していたが、ワガハイも同感だ。民主党は、代わりに給付や税控除を検討していたが、いずれについても共通番号など所得を把握する仕組みが伴わなければならない(12年6月「軽減税率は愚策」参照)。税は公平性が第一で、抜け穴対策を事前に講じておくことが大事だ。
by everyoung
| 2013-01-24 20:16
| ハラ立ち日記
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