2013年 03月 29日
完璧は無理 |
衆院選の「1票の格差」是正のための区割り勧告を受け、安倍晋三政権は公職選挙法改正案の早期成立を目指すことになった。最近の訴訟裁判で「違憲」や「無効」の判決が相次いだことも背景にある。どう選挙区をいじっても「格差」はある程度は縮小するが、なくなることはないだろう。
小選挙区の定数を「0増5減」とする選挙制度改革法は4ヶ月前に成立。それを受けて審議会で区割りの見直しを急いでいた。これとは切り離し、比例区の議席を30減らし、少数党に60議席の優先枠を設ける制度改革案も与党で検討されている。
審議会が提示した勧告では、有権者数の最も少ない鳥取区を基準に、他の選挙区を微調整したもので、「ゲリマンダー」的な継ぎ接ぎが見られる。新しい区割りでは、小選挙区はいずれも「格差」が2倍以下となっている。
憲法では「法の下に平等」であることを求めている。一般的には「違憲」の目安は「2倍以上にしない」とされており、今回の見直しでは一応これをクリアした格好だ。裁判では、現行の区割りが「平等」ではないという結論を出したが、「格差」が2倍以下なら「平等」だという根拠は何も示されていない。
「格差」が大きかったのは、都市部と地方との間だ。人口密度に格段の差があり、有権者数も当然それに従って多くなっている。「1票の格差」をゼロにすることは、大都市圏に政治家が集中することになる。タダでさえ老齢化や過疎化の進む山間僻地は、政治的にもますます取り残される結果となる。
衆参議員のうち500人程度が農林水産議員と言われている。現状の選挙制度では、地方の有権者数の価値が、それだけ認められている結果だ。国は都市部だけで成り立っていない。ある程度の都市部への集中は避けられないにしても、全体的なバランスに配慮することも必要である。
有権者数が多くても投票率が高いとは限らない。前回の総選挙では、小選挙区投票率は全国平均で59、32%と6割を下回り、衆院選挙では戦後最低となった。投票率が高い所は、島根、山形、山梨など。逆に低い所は、高知、青森、栃木などであった。両極とも地方が占めているが、民度の差なのかも知れない。
都市部では、神奈川、埼玉、千葉の首都圏が50%台。都知事選と同時実施で投票率は若干上がったものの、東京都も低水準にあることは変わりはない。「1票の格差」をいくら是正しても、投票率が低ければ参政意識が薄いという証左だ。
区割りは有権者数だけをベースにしているが、投票率も考慮すべきである。無効票や棄権が多い所に定数だけを増やしても意味がない。「格差」を是正することには反対ではないが、権利と裏腹に義務もあることを忘れてはならない。
選挙制度は利害が絡む問題で複雑だ。司法判断だけで結論を出すべきではない。全国紙でも、読売新聞の論説は、判決を「無責任」と断じ、朝日新聞や毎日新聞などとは意見を異にしている。今回の見直しは一歩前進だが、さらなる幅広い論議が不可欠だ。
小選挙区の定数を「0増5減」とする選挙制度改革法は4ヶ月前に成立。それを受けて審議会で区割りの見直しを急いでいた。これとは切り離し、比例区の議席を30減らし、少数党に60議席の優先枠を設ける制度改革案も与党で検討されている。
審議会が提示した勧告では、有権者数の最も少ない鳥取区を基準に、他の選挙区を微調整したもので、「ゲリマンダー」的な継ぎ接ぎが見られる。新しい区割りでは、小選挙区はいずれも「格差」が2倍以下となっている。
憲法では「法の下に平等」であることを求めている。一般的には「違憲」の目安は「2倍以上にしない」とされており、今回の見直しでは一応これをクリアした格好だ。裁判では、現行の区割りが「平等」ではないという結論を出したが、「格差」が2倍以下なら「平等」だという根拠は何も示されていない。
「格差」が大きかったのは、都市部と地方との間だ。人口密度に格段の差があり、有権者数も当然それに従って多くなっている。「1票の格差」をゼロにすることは、大都市圏に政治家が集中することになる。タダでさえ老齢化や過疎化の進む山間僻地は、政治的にもますます取り残される結果となる。
衆参議員のうち500人程度が農林水産議員と言われている。現状の選挙制度では、地方の有権者数の価値が、それだけ認められている結果だ。国は都市部だけで成り立っていない。ある程度の都市部への集中は避けられないにしても、全体的なバランスに配慮することも必要である。
有権者数が多くても投票率が高いとは限らない。前回の総選挙では、小選挙区投票率は全国平均で59、32%と6割を下回り、衆院選挙では戦後最低となった。投票率が高い所は、島根、山形、山梨など。逆に低い所は、高知、青森、栃木などであった。両極とも地方が占めているが、民度の差なのかも知れない。
都市部では、神奈川、埼玉、千葉の首都圏が50%台。都知事選と同時実施で投票率は若干上がったものの、東京都も低水準にあることは変わりはない。「1票の格差」をいくら是正しても、投票率が低ければ参政意識が薄いという証左だ。
区割りは有権者数だけをベースにしているが、投票率も考慮すべきである。無効票や棄権が多い所に定数だけを増やしても意味がない。「格差」を是正することには反対ではないが、権利と裏腹に義務もあることを忘れてはならない。
選挙制度は利害が絡む問題で複雑だ。司法判断だけで結論を出すべきではない。全国紙でも、読売新聞の論説は、判決を「無責任」と断じ、朝日新聞や毎日新聞などとは意見を異にしている。今回の見直しは一歩前進だが、さらなる幅広い論議が不可欠だ。
by everyoung
| 2013-03-29 11:34
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