2014年 09月 11日
痛み承知でやれ |
安倍晋三政権が、消費税の再引き上げを決断するかどうか、正念場が近づいて来た。7−9期の国内総生産(GDP)次第だが、前の期の落ち込みが予想を上回ったほか、今ひとつ景況感がパッとしないことが背景にある。
増税を喜んで賛成するのは財務省ぐらいで、ほとんどは「反対」立場だ。メディアの調査でも、半数以上が「反対」の意見だ。聞き方や選択肢の問題もあるが、一般的には、増税は国民生活にとって愉快ではない話だ。「賛成」か「反対」かを単純に問えば、「反対」するのは当たり前だ。
過去の事例を見ても、政権にとって消費税の引き上げは命運を左右する。同じ政権で、1回の引き上げでも大変だが、2回もやるとなると相当の覚悟が必要だ。政権内部でも先延ばし論が台頭しているのもそのためだ。
消費税は、徴税上の公平性が確保できる半面、逆進性があり、貧乏人には不利となる欠点がある。軽減税率の導入は、かつての物品税と同様に政治の具とされ、業界の思惑や利害が絡み、線引きが厄介だ。逆進性については、税制に例外措置を設けるより、他の政策で対応することを考えた方がよい。
日本の直接税の割合は、他国に比べて高い。消費税を上げることで、直間比率が改善されるが、直接税も減税して両サイドから見直すべきというのが、ワガハイの従来からの意見だ。
徴税過程での「クロヨン」や「トウゴウサン」のような不公平感は消費税にはない。流通段階での不正防止を担保するためには、軽減税率の導入如何に関らず、インボイス方式の導入が不可欠だ。
インボイスは、事務手続きが面倒で、中小企業などでは忌避する傾向があるが、税の公平性確保には避けて通れない。消費税は前段階控除である。インボイスでインチキをすれば、他人が払うべき税金まで、自分で払わなければならない。不正の歯止めには最適な方式である。
消費税の引き上げは、二段階に分けたが「ワンセット」の政策である。現行の8%を10%に上げるのは既成のシナリオであり、織り込み済みである。景気に多少の悪影響は予想されるが、経済対策を順次打って緩和することを考えればよい。
「反対」意見に対しては、社会保障や財政事情をどう考えるか、丁寧に国民に説明していくことが必要だ。増税で得た資金は、政府が貯金するわけではない。財政の分配機能が正常なら、時間差はあるものの、いずれ回り回って国民に還元されるものだ。「取られ損」ではなく、本来はニュートラルであるはずだ。
by everyoung
| 2014-09-11 12:07
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