2015年 07月 24日
軍事拠点化 |
政府は、東シナ海の日中中間線付近での中国ガス田開発の状況を、写真や地図で公表した。確認された洋上プラットフォームは16基。いつでもレーダー、ヘリポートとして軍事転用できる可能性がある。
2008年の日中首脳会議では、「東シナ海を平和、協力、友好の海とする」日中共同声明に両国は署名。日中両政府は同年6月に、東シナ海での線引きが確定していないため、ガス田を共同で開発することで合意している。その後、尖閣諸島問題で交渉が中断したままとなって今日に至っている。
当然ながら政府は、「日中合意違反であり、現状の一方的変更は許されない」として、即時開発の中止と交渉の再開を要求。中国政府は、「共通認識の履行を立証する立場は不変」としながらも、「紛争のない地域であり、開発中止には応じない」との強い姿勢を見せている。
日中中間線について政府は、日本の排他的経済水域の境界線を定める基準であるとの立場を取っている。これに対し中国政府は、「大陸棚延長論」を採用。沖縄トラフまでの海域を主張している。
南シナ海での領有権を巡っては、中国政府は「9段線」の考え方を根拠に、関係国と摩擦を起こしている(6月「主張盛り込む」参照)。東シナ海での中国のガス田開発は、一応日中中間線の「中国寄り」の区域にあり、日本側にある程度「配慮」した形となっている。
資源開発は、相手国に近い境界線側から始めるのが基本だ。海底で脈が繋がっており、人の分から先に手を付けるのが得策ということだ。資源エネルギー庁によると、中国ガス田開発地域での埋蔵量は、日本全体の年間消費量の1年半程度」だ。
常識的に考えると、この程度のガス田開発に16基ものプラットフォームは必要はない。異常に多い印象だ。中国政府の思惑は、既成事実を積み重ね、軍事拠点の段階的構築に進むことを狙っているのは明らかだ。
中国の軍事費は、この4半世紀ずっと二桁の伸びを示している。しかも内容は不明確で、軍事技術の開発費や部隊経費の一部は含まれていない。巷間では、軍事費は公表数値の3倍にも達していると見られている。
先に発表された日本の防衛白書のついて、中国の新華社通信は、「中国の脅威を誇張し、軍事大国化を図っている」と論評している。自国の軍事増強や海洋進出など、国際法を無視した行動や現状の勝手な変更に目を瞑った「自己中」そのものだ。
尖閣諸島では、毎日のように領海侵犯が発生している。南シナ海だけでなく、東シナ海でも着々と中国の「覇権」が進んでいる。ガス田開発の状況だけでなく、政府は頻繁に中国の軍事動静を絵解きで国民に知らせるべきだ。安保法制の側面支援的色彩は否めないが、国際緊張の現実を直視することは大事だ。
by everyoung
| 2015-07-24 10:41
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