2015年 08月 03日
バカの見本 |
国会で審議中の安全保障関連法案について、「法的安定性は関係ない」と発言した礒崎陽輔首相補佐官が、3日の参院特別委員会に参考人として呼ばれ、発言を撤回するとともに陳謝した。職務は続ける意向を表明した。
先の大分市での講演会で礒崎氏は、「法的安定性は関係ない。わが国を守るために必要かどうかを気にしないといけない」と述べていた。政府は、法案の閣議決定の際に「法的安定性は損なわない」との見解を示しており、野党から内部矛盾を指摘されていた。
政府方針の根幹に触れる問題で、野党は礒崎氏の進退や、安倍晋三首相の任命責任を追及していく構えだ。礒崎補佐官は、官邸の知恵袋の一人で、しかも安全保障担当だ。当然、法案策定の過程で議論に深く加わっており、法解釈についても精通していたはずだ。安倍政権にとっては、身内の大チョンボであり、野党にとっては思わぬ「敵失」が転がり込んだことになる。
国家安全保障に関しては、外交上の配慮や軍事機密などにより、具体的な事例には触れにくい面があるが、政府の考え方は比較的明解だ。念頭に置くべきは、国際法の概念だ。自衛権の行使も、これをはみ出た形ではできない。日本にはさらに憲法の制約があり、行使は限定的なものになっている。
一連の安保法制に関しては、与党内で法的安定性についてさんざん議論して来た経緯がある。政府は、集団的自衛権の行使について以前は「憲法上できない」としていたのを、「限定的なら可能」と解釈を変えた。
集団的自衛権のフルスペックの行使でなければ、憲法に違反せず、法的安定性は維持できるとの判断だ。野党からの質問は、予め想定された範囲で、安倍首相の答弁も滑らかだ。礒崎氏の発言は、突然流れに水を差したようなものだ。
以前にも指摘したことだが、国家安全保障として集団的自衛権などが必要かどうかをまず考えるべきだ。その上で、内容が憲法上不都合があれば憲法自体を変えればよい。解釈で行使が可能なら、それで対応すれば済むことだ。
礒崎氏の後段の発言は、そういう意味では全く問題はない。前段で礒崎氏は、余計なことまで付け加えたから物議を醸した。礒崎氏は、参院議員で、高級官僚の出身だ。東大法学部を出た秀才でもあるが、その割には言動がお粗末で軽卒極まりない。
by everyoung
| 2015-08-03 19:08
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