2015年 12月 12日
混乱の元 |
注目された消費税の軽減税率について、自民党の谷垣禎一幹事長と公明党の井上義久幹事長が、対象品目を「酒類・外食を除く生鮮・加工食品」とすることで漸く合意した。当初より6000億円膨らむ財源の手当は、来年度末までに確保。インボイスの導入は21年4月からとした。
社会保障一体改革との関連で、軽減税率による税収の目減りを4000億円に留めたいとする自民党に対し、公明党は対象を生鮮食品だけでなく加工食品まで拡大することを求め、調整に手間取った。生鮮食品と加工食品の区別が曖昧で、財源だけでなく、線引きについて納得のいく説明が困難とされていた。
自民党内では一時、線引き問題が複雑となるため、いっそのこと外食まで対象とする案も検討された。外食には、高級料亭なども含まれるため、高額所得者が恩恵を受けるとの批判が出て、結局、加工食品までとすることで折り合った。
対象を拡大すれば、不足財源をどうするかが問題となるが、それ以上に品目の線引きが大きな課題だ。合意した内容でも、どこまでが加工食品となり、どこからが外食になるかで議論が分かれるところだ。両者の間で、その分類に関しひと悶着ありそうだ。
かつての物品税が、線引きを巡って業界や政治家の力関係で左右された経験がある。その学習効果を無視。軽減税率で同じ轍を踏むことになるかも知れない。公明党は、軽減税率に拘った責任から、線引きについての合理的説明を国民に果たす義務がある。
軽減税率に関する自公のせめぎ合いは、公明が実質「満額回答」を得た。自民党が折れたのは、来年の参院選での公明票欲しさであることは見え見えだ。官邸主導でコトが運び、谷垣氏はメンツを潰された格好だ。安倍晋三首相は、公明の協力により政権基盤を盤石にして、次のテーマである憲法改正に備えたい意向だろう。愚かな妥協で思惑が外れ、逆に票が逃げることにもなりかねない。
(12年6月「軽減税率は愚策」、15年11月「本当に必要か」、同9月「多少はまし」など参照)
社会保障一体改革との関連で、軽減税率による税収の目減りを4000億円に留めたいとする自民党に対し、公明党は対象を生鮮食品だけでなく加工食品まで拡大することを求め、調整に手間取った。生鮮食品と加工食品の区別が曖昧で、財源だけでなく、線引きについて納得のいく説明が困難とされていた。
自民党内では一時、線引き問題が複雑となるため、いっそのこと外食まで対象とする案も検討された。外食には、高級料亭なども含まれるため、高額所得者が恩恵を受けるとの批判が出て、結局、加工食品までとすることで折り合った。
対象を拡大すれば、不足財源をどうするかが問題となるが、それ以上に品目の線引きが大きな課題だ。合意した内容でも、どこまでが加工食品となり、どこからが外食になるかで議論が分かれるところだ。両者の間で、その分類に関しひと悶着ありそうだ。
かつての物品税が、線引きを巡って業界や政治家の力関係で左右された経験がある。その学習効果を無視。軽減税率で同じ轍を踏むことになるかも知れない。公明党は、軽減税率に拘った責任から、線引きについての合理的説明を国民に果たす義務がある。
軽減税率に関する自公のせめぎ合いは、公明が実質「満額回答」を得た。自民党が折れたのは、来年の参院選での公明票欲しさであることは見え見えだ。官邸主導でコトが運び、谷垣氏はメンツを潰された格好だ。安倍晋三首相は、公明の協力により政権基盤を盤石にして、次のテーマである憲法改正に備えたい意向だろう。愚かな妥協で思惑が外れ、逆に票が逃げることにもなりかねない。
(12年6月「軽減税率は愚策」、15年11月「本当に必要か」、同9月「多少はまし」など参照)
by everyoung
| 2015-12-12 20:52
| 言いたい放題
|
Comments(0)