2017年 01月 09日
勉強が足りん |
米国では来週、トランプ政権がいよいよ誕生する。依然として政策が不透明で、政権が発足しても、当面は混乱が続くことが予想される。米国の大統領は、単なる「地上げ屋」程度の発想では機能しない。世界に対する影響力をしっかり自覚して言動すべきだ。
びっくりしたのはトヨタ自動車に対する介入だ。トランプ氏は、国内メーカーのフォードやGMの戦略にいちゃもんを付けた。フォードは脅かされて、メキシコでの工場建設を取り止めた。味を占めてか、今度は日本メーカーのトヨタにも矛先を向けた。
トヨタもフォードなどと同様に、メキシコでの工場建設を計画しており、昨年11月には新工場の起工式を終えたばかりだ。メキシコは労賃が安く、しかも北米自由貿易協定(NAFTA)の恩恵で、米国に関税ゼロで輸出できるメリットがある。生産拠点としては、自動車だけでなく、多くの企業がメキシコ進出を狙っている。
トランプ氏は、自らのツィッターで「トヨタ批判」をつぶやいた。民間企業の重要戦略について、ネットなどでごちゃごちゃ言うのはそもそも筋違いだ。もっとも、トランプ氏はまだ大統領ではないので、一民間人として勝手なことを言うのは許されるかもしれないが、その場の「思いつき」にしか過ぎない。
発言は、トヨタは「米国で工場を造るか、そうでなければ国境で高い関税を払え」という内容だ。これを受けて、翌日の東京株式市場は、自動車株中心に急落した。トヨタは即、反論。豊田章男社長は、「米国内の工場を移転するのではない。米国内での生産や雇用が減るのではない」と説明。「計画を現時点で見直す考えはない」ことを強調した。当たり前だ。
豊田社長によれば、トヨタは米国に20年間投資し、現在では10工場を稼働。13万6000人の従業員を雇っている。日本企業全体でも、米国内で80万人以上も雇用しているのが実態だ。豊田氏は、「工場建設は、決めた以上、雇用と地域への責任がある」とし、「トランプ政権と協力することと楽しみにしている」とコメント。トランプ氏の無知に対し、「大人の対応」を見せた。
すでにトランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退を表明。メキシコやカナダとのNAFTAの見直しも視野に入れている。仮に米国が、NAFTAも破棄するとなると、相手国も対抗措置を講ずるのは確実だ。メキシコは、大量の農畜産物を米国から輸入しており、報復として高関税を掛けるのは目に見えている。自国だけが、いい思いをすることはできない。
自動車についてトランプ氏は、35%の高関税を掛けるようなことを述べているが、世界貿易機関(WTO)の規定で関税の上限が定められており、それを越えて課すのは事実上不可能である。掛けたいなら、WTOからも脱退しなければならない。
そうなれば、各国も米国製品などに高関税を課すことになり、世界の貿易秩序はむちゃくちゃになる。自由貿易で成長した米国にとっても、大損を被ることになるのは間違いない。トランプ氏は、まだそのことがよくわかっていないようだ。
「米国第一主義」は保護主義に直結する恐れがある。トランプ氏が経済合理性に反し、無理に外国企業を国内に引っ張り込んでも、うまくいくとは限らない。競争力が低下して、クビ切りや合理化を余儀なくされる可能性がある。経済は、すでに1国だけでは成り立たない状況にある。全世界規模で持ちつ持たれつの関係にあることをトランプ氏は認識すべきだ。
びっくりしたのはトヨタ自動車に対する介入だ。トランプ氏は、国内メーカーのフォードやGMの戦略にいちゃもんを付けた。フォードは脅かされて、メキシコでの工場建設を取り止めた。味を占めてか、今度は日本メーカーのトヨタにも矛先を向けた。
トヨタもフォードなどと同様に、メキシコでの工場建設を計画しており、昨年11月には新工場の起工式を終えたばかりだ。メキシコは労賃が安く、しかも北米自由貿易協定(NAFTA)の恩恵で、米国に関税ゼロで輸出できるメリットがある。生産拠点としては、自動車だけでなく、多くの企業がメキシコ進出を狙っている。
トランプ氏は、自らのツィッターで「トヨタ批判」をつぶやいた。民間企業の重要戦略について、ネットなどでごちゃごちゃ言うのはそもそも筋違いだ。もっとも、トランプ氏はまだ大統領ではないので、一民間人として勝手なことを言うのは許されるかもしれないが、その場の「思いつき」にしか過ぎない。
発言は、トヨタは「米国で工場を造るか、そうでなければ国境で高い関税を払え」という内容だ。これを受けて、翌日の東京株式市場は、自動車株中心に急落した。トヨタは即、反論。豊田章男社長は、「米国内の工場を移転するのではない。米国内での生産や雇用が減るのではない」と説明。「計画を現時点で見直す考えはない」ことを強調した。当たり前だ。
豊田社長によれば、トヨタは米国に20年間投資し、現在では10工場を稼働。13万6000人の従業員を雇っている。日本企業全体でも、米国内で80万人以上も雇用しているのが実態だ。豊田氏は、「工場建設は、決めた以上、雇用と地域への責任がある」とし、「トランプ政権と協力することと楽しみにしている」とコメント。トランプ氏の無知に対し、「大人の対応」を見せた。
すでにトランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退を表明。メキシコやカナダとのNAFTAの見直しも視野に入れている。仮に米国が、NAFTAも破棄するとなると、相手国も対抗措置を講ずるのは確実だ。メキシコは、大量の農畜産物を米国から輸入しており、報復として高関税を掛けるのは目に見えている。自国だけが、いい思いをすることはできない。
自動車についてトランプ氏は、35%の高関税を掛けるようなことを述べているが、世界貿易機関(WTO)の規定で関税の上限が定められており、それを越えて課すのは事実上不可能である。掛けたいなら、WTOからも脱退しなければならない。
そうなれば、各国も米国製品などに高関税を課すことになり、世界の貿易秩序はむちゃくちゃになる。自由貿易で成長した米国にとっても、大損を被ることになるのは間違いない。トランプ氏は、まだそのことがよくわかっていないようだ。
「米国第一主義」は保護主義に直結する恐れがある。トランプ氏が経済合理性に反し、無理に外国企業を国内に引っ張り込んでも、うまくいくとは限らない。競争力が低下して、クビ切りや合理化を余儀なくされる可能性がある。経済は、すでに1国だけでは成り立たない状況にある。全世界規模で持ちつ持たれつの関係にあることをトランプ氏は認識すべきだ。
by everyoung
| 2017-01-09 10:54
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