2017年 03月 04日
言い訳に終始 |
築地市場の豊洲移転に関して、石原慎太郎元東京都知事が日本記者クラブで会見した。経緯や自らの関与については、具体的には触れず、これまでの主張を繰り返すに留まった。何のために会見を開いたのかわからない。
石原氏は冒頭、「最高責任者として豊洲移転を承諾した」と述べた。言わずもながのことで当然だ。一方で、「専門家でもない。知見も能力もない」とした上で、「総意で認可。議会も是としたもので、みんなの責任だ」とし、自分だけの責任ではないことを強調した。
説明責任を追及している小池百合子知事に対しては、「混迷、迷走の責任がある。安全性には問題はない」と逆に指摘。移転が長引くことで多額の補償が生じた点などにも触れ、知事の責任を厳しく批難した。小池知事は、「移転できない状況を客観的に見て欲しい」と反論した。
豊洲移転の最大の問題は土壌汚染だ。事前に環境基準の1500倍ものベンゼンが検出されたにも関わらず、なぜ再考しなかったかだ。石原氏は、「知らぬ、存ぜぬ」で、部下や専門家、議会の判断に委ねたとし、終始責任転嫁する発言をした。
重要な点は、瑕疵担保責任だ。東京都は、土地を譲り渡した東京ガスとの間で協定書を交わして、同社の追加負担を求めないことにしている。石原氏は、「報告も相談も受けていない。押印の記憶もない。誰かが公印を勝手に使ってサインした」と直接的な関与を否定した。
土地に関わらず、契約においては瑕疵担保責任をどうするかは重要な事項である。東京ガスに、事後発覚した瑕疵に責任を求めないならそれの根拠が必要だ。石原氏は、この重要な点について、全て他人任せであったことを認めている。トップとして、肝心なことの確認を怠ったということだ。
会見では、記者団からかなり突っ込んだ質問が出たが、石原氏からの納得のいく返答は何もなかった。後は、20日に予定される都議会での「百条委員会」(地方自治法に基ずく特別委員会)に委ねられることになる。ここでどの程度、具体的な内容が明らかにされるかは不明だ。
それにしても、石原氏がなぜわざわざ現段階で意味のない会見を開くことにしたのか理解に苦しむ。恐らく発言の責任が問われない席で、言いたいことだけは言っておこうと判断したのかも知れない。会見は、石原氏の評価を下げる場になっただけだ。
by everyoung
| 2017-03-04 10:26
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