2018年 02月 27日
強みを活かせ |
安倍晋三政権の目玉政策の一つは、地方の活性化である。放っておけば地方はドンドン過疎化や老齢化が進む。それを食い止めるためには、日本人だけの知恵や力だけではダメだ。国際的に人材を集め、能力を結集することが大事だ。
以前、一つの方法として企業の技術・開発部門や、本社機能を移転させるために思い切った優遇策を講じる必要があることを指摘した(17年11月「チャンス到来」など参照)。実現には、官民一体となって推進することが不可欠だが、併せて、日本の文化の強みに着目したプロジェクトも考えるべきだ。
注目したいのは、マンガやアニメ、ゲームだ。この分野は、日本が世界に誇れる実力を持っている。マンガ好きの麻生太郎氏が総理(当時)の時、「国立メディア芸術総合センター」(アニメの殿堂)なる構想が浮上したことがある。
建設費として117億円の予算を計上しようとしたが、母子家庭の支援額に匹敵するカネをばら撒くのはけしからんなどとという理由で、後を継いだ民主党政権がぶち壊してしまった経緯がある。暫く沙汰止みとなっていたが、再び陽の目を見る可能性も出て来た。
超党派による「マンガ、アニメ、ゲームに関する議員連盟」(MANGA議連=古屋圭司会長)が発足したのは2014年だ。作品の収集や展示、調査研究に取り組むと同時に、世界から優秀な人材を招致。コンテンツ開発を手がけようという構想だ。
民主党は、無駄遣いの象徴として槍玉に挙げたが、極めて近視眼的だ。今や、マンガやアニメ、ゲームは若者文化であり、日本の作品は世界で高く評価されている。更なる成長が見込まれる産業である。文化の発信地として、国や自治体を挙げて制度的、社会的基盤を整備することが望ましい。
拠点は全国に造るべきだ。すでに70箇所程度が、地方創生の一環として取り組んでいる。例えば、「仮面ライダー」の石森章太郎の出身地の宮城県、「ウルトラマン」の円谷英二は福島県。「ドラえもん」の藤子不二雄は富山県、「アンパンマン」のやなせたかしは高知県、「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるは鳥取県といった具合だ。
単に、そこらの観光客を呼び込むだけでは意味がない。全世界からコンテンツ開発の人材を集め、その土地に定着するような環境を整えなければならない。幸いなことに、今、日本の伝統的な文化に関心が高まっている。忍者ブームなどもそれだ。この機会を逃すことはない。
「MANGA議連」は、議員立法を制定してこれらの動きを後押ししていく方針だ。それ以外にも、同じく超党派による「文化芸術振興議連」(河村建夫会長)も、文化芸術基本法の改正を検討している。日本には、よく探せば世界に通じる文化資産が山ほどある。有効に生かせば、活性化に繋がることは間違いない。
by everyoung
| 2018-02-27 19:04
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