2018年 04月 07日
管理の後追い |
このところ厚労省に続き、財務省、防衛省と役所の不祥事が相次いでいる。野党は一斉に、天から降って来た「敵失」到来に、安倍晋三政権を追い込むチャンスと気色ばんでいる。社会にとって大きな問題であることには違いないが、いずれも後ろ向きの話ばかりで、建設的ではないのが残念だ。
財務省理財局の公文書改ざんについては、先の証人喚問での佐川宣寿氏の発言を信じるとすれば、理財局以外からの圧力によるものではなく、専ら「忖度」の行き過ぎだと推定される。いずれ司直によって真相は明らかにされるであろう。
防衛省のイラク派遣に関する日報が、「なかった」はずのものが、実は「あった」というのはお粗末な話だ。陸上自衛隊に続き、航空自衛隊でも発覚。小野寺五典防衛相は、連日頭の下げっぱなしだ。
件の日報の探し方に問題があったのか、意図的に隠蔽されていたのかは、今のところ不明だ。「あった」ことがわかってから1年以上も経って、漸く大臣に報告されたのは極めて深刻な事態だ。
当時の稲田防衛相は、昨年2月の国会での追求に対し、「確認したが、見付からなかった」と答弁。すぐに探索を指示した。その結果、3月になって陸自幕僚監部は外付けハードディスクに日報が保存されていたことを把握したが、その場に留めた。稲田氏からの指示が、不十分だった可能性もある。
職務上作成した保存すべき文書は、「行政文書ファイル管理簿」に登録することになっている。実態は、登録基準も曖昧で登録されない文書も多く、ファイル名もバラバラ。管理体制は形ばかりであった。
防衛省は昨年夏、南スーダンの日報問題を受けて管理方式を見直し、統合幕僚監部による一元管理を強化した。統幕では、最近になって陸幕から報告された文書の表題を照合した結果、イラク日報の存在を知り、慌てて大臣へ伝えコトが発覚した。
陸幕がどうして即、大臣への報告を怠ったのかは、今後の調査を待つしかない。併せて再検討すべきは文書管理の在り方だ。コンピュータによる文書作成や管理は、今や一般的で紙媒体は少なくなりつつある。注意が必要なのは、電磁的記録の扱いだ。
かつてワガハイは、外付けハードディスクを誤って初期化してしまい、6万件の写真データが一瞬に消えて青ざめたことがある。実は、消えたのは「目次」の部分で、中身の復元は特別のソフトを使えばできることがわかった。詳しい知人に頼み、何とか中身だけは復原したが、ファイル名などは消えていたため後の整理は大変だった。
電磁的記録媒体は、紙に比べ扱いが便利だ。必要なタグを付けておけば、容易に検索が可能で、コピーも簡単だ。その半面、添付ファイルが転々と流通することもあり、その存在が拡散する危険性もある。どう管理するかについては、技術面の進歩に比べ人間系の対応が追い付いていない。
「あってはならない」所にデータが存在したり、消去したはずのものが実は生きていたりする世界だ。「ない」はずのものが、どこかに埋もれていることだって十分にあり得る。電磁的記録媒体では、紙とは異なった処理の仕方を考えて置かなければならない。
役人の縦割り体制の中で、勝手に情報を管理するから、辻褄の合わないことが屡々発生する。法制面での整備だけでなく、作業や運用レベルでの意識改革が不可欠である。これを機に電磁的記録の管理に、これまで以上に真剣に取り組むべきだ。
by everyoung
| 2018-04-07 11:37
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