2018年 05月 20日
公共の利益 |
成田空港が開港40周年を迎えた。当初は滑走路1本でスタート。2002年には2本目が完成。最近、3本目についても地元市町村や千葉県が新設に合意。敷地も1、7倍に拡大されることになった。漸く、国際空港としての体裁を整える目処がついた。
内陸部の飛行場には、様々な制約がある。拡張性にも問題があるが、騒音などに対する住民の反発があり、夜間や早朝の飛行はできない。比較的制限の少ない羽田空港を合わせてワンセットでの「ハブ」化を目指すことになる。
発着回数は現在、年間30万回だが、計画が実現すれば、成田は50万回にまで拡大する。安倍晋三政権は、羽田と合わせて100万回に増やし、訪日客年間6000万人達成の受け皿にしたい考えだ。
ワガハイは千葉に住んでいるからよくわかるが、成田空港の建設予定となった場所は、北総台地と呼ばれる地域で、灌漑用水が少なく、農業には元々適していない土壌だ。周辺は御料牧場や森林が大部分で、水田や畑はあまりなかった。
都心からのアクセスも不便で、ゴルフ場もなく、未開発地域が大半で、せいぜいピーナツを作るのが精一杯の土地柄であった。建設反対派が所有する土地のほとんどは、先祖代々受け継がれたものではない。戦後、外地から引き揚げた入植者に、宮内庁が御料牧場をタダ同然で払い下げた経緯がある。
「土地が奪われる」と騒いでいる連中の「農業」の歴史は、空港建設計画が持ち上がるまでのわずか20年程度でしかないのが実態だ。それを数人の「農家」が、「農業を守る」ことを錦の御旗に居座り、「左巻き」が相乗りして政治闘争にしてしまった。
もっとも、政府も住民に対する事前の十分な説明を怠った責任も大きかったことは否めない。初めから「ボタンのかけ違い」があったことは事実だが、「成田闘争」は無駄の象徴と言っても差し支えない。
誰しも、生活環境が変わることには抵抗がある。人間が社会を構成して行くには、何らかの個人の犠牲が伴う。特に、道路、鉄道、空港、港湾など社会の基盤整備には「公共利益」を優先せざるを得ない。中国や北朝鮮のような独裁国家の権力者にとっては簡単だ。住民の意思など関係なく強制できるからだ。民主主義国家ではそうはいかない。手間とカネが掛かるのはやむを得ない。
今、成田周辺を見渡すと、空港を囲むようにゴルフ場が10以上もある。空港建設当時には「三里塚CC」だけが存在。これは話し合いで解散。代替地として「鶴舞カントリー倶楽部」に衣替えした。それ以外のゴルフ場は、成田空港以降に造成されたものだ。
空港の土地には提供できないが、ゴルフ場の建設にはどんどん土地を提供したということか。ゴルフ場は騒音は発生しないが、芝の維持のために薬品をバラマキ、土壌や水質に悪影響を及ぼす危険性もある。どちらが「公共利益」に叶っているかは歴然だ。成田方面に行く度に違和感を感じる。(07年7月「住民エゴ」など参照)
by everyoung
| 2018-05-20 09:45
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