2018年 07月 17日
EPA署名 |
日本と欧州連合(EU)は、経済連携協定(EPA)に署名した。双方の議会承認を経て発効する。西日本を襲った大水害の影響で、安倍晋三首相の外遊が取り止めとなったため、急遽、日本での署名となった。安倍首相は、保護主義が台頭する中での協定署名は、自由貿易体制の意義を強調するものだと述べた。
新経済圏が構築されると、世界の国内総生産(GDP)の3割、貿易額の4割を占める世界最大の規模となる。EU向けの日本の乗用車の関税は7年後には撤廃される。日本からの農水産物の輸出も加速される見通しである。半面、EUからのチーズやワインの関税なども下げられ、日本の消費者は恩恵を受けることになる。新たな経済圏の発足で、日本のGDPは実質5兆円押し上げられ、雇用も29万人が創出される見通しだ。
安倍首相は署名後、EUのトゥスク大統領、ユンケル委員長と共同記者会見に臨んだ。冒頭、安倍首相は、「EPAは最大級の先進経済圏で、21世紀にふさわしい経済の枠組みであり、アベノミックスの新しいエンジンである。保護主義では何も生まれない。自由で開かれた経済秩序により、世界の平和と安定にも貢献できる」などと語った。
安全保障の関連で安倍首相は、EUのアジアへの関与を評価。「米朝対話は核、ミサイル、拉致の解決へ向けての第一歩」であるとして、「北朝鮮が国連安保理決議を履行すれば、未来は開ける」と、EU側の協力や理解を求めたことを明らかにした。トゥスク大統領は、「日本とEUの関係はかつてないほど強い」とし、「保護主義に反対。北朝鮮に圧力を掛けていく」ことを表明。ユンケル委員長は、EPAは「世界にとって画期的である。グローバル貿易の向上に役立つ」ことを力説した。
EPAの署名により、米国の孤立化はますます深まることが予想される。トランプ米大統領は、「マルチ」より「バイ」による解決を望んでいるようだが、日本をはじめ、米国と「バイ」で応じる気配は今のところない。何度も言うようだが、特に経済関係は世界が複雑な絡み合いで成立しており、特定の国のエゴが奏功する状況にはない。
米国は、中国を標的とした知的財産の侵害問題には強い態度で臨むべきだ。日本やEUも、この点については異論はない。問題は、鉄鋼やアルミに対する関税強化だ。この政策は誤っており、早急に撤回した方が賢明だ。米国にとって一つも得になることはない。いずれ米国経済にも悪影響が出るであろう。トランプがいつ気付き、起動修正するかが今後の焦点となろう。
by everyoung
| 2018-07-17 20:50
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