2018年 11月 09日
変化あるか |
米国の中間選挙では、共和党が上院を制したが、下院では民主党が過半数を奪回。議会での「ねじれ」が、今後のトランプ大統領の政策運営にどう影響するのか微妙だ。歴史的に見ても、議会と大統領は常に対立関係にあるが、選挙結果はそれを一層鮮明にしたと言える。
トランプ氏は、選挙結果について「ほぼ完全勝利」だと自画自賛。従来の言動を変える気配にはない。下院で民主党に主導権を奪われたことで、民主党との協力姿勢を示しているが、一方で「共和党も民主党も、それぞれやりたいことをやればよい」と意気盛んだ。
民主党下院の院内総務であるペロシ氏を、トランプ氏は高く評価。民主党に対する秋波を送っている。ロシア疑惑に関連して弾劾が取りざたされているが、ペロシ氏は、「弾劾にまで追い込まない」との意向を表明している。もっともペロシ氏は、他の民主党議員の弾劾を巡る動きには、「反対はしない」としており、立場は微妙だ。
残された任期をトランプ氏が無事にこなせるかどうかは不明だが、今のところ「唯我独尊」の路線を大きく変える姿勢は示していない。注目されるのは日本との経済関係だ。トランプ氏は、「安倍晋三首相とは親しい中の一人だが、貿易面では不公平だ。対日赤字は約1000億ドルあり、低い関税で自動車を輸出している」と指摘。「日本を批判するつもりはないが、それを許して来たこれまでの米国政府に責任がある」と述べている。
確かに、米国の対日赤字は、中国の比ではないにしても、相当な額に達している。自動車がその主な原因であることは間違いないが、日本の自動車産業は米国に巨額の投資をして、多数の雇用創出に貢献しているのも事実だ。
米国は、今後二国間交渉に持ち込み、赤字軽減策を求めてくることは必至だ。日本はあくまでもバイではなくマルチで対応していく方針だが、トランプ氏にどこまで譲歩できるかどうかが焦点となる。
これまでもそうだったが、米国は二言目には、「不公平」「不公正」を唱えるが、具体的にどこに問題があるのかの指摘が明確ではない。過去に何度も日米貿易交渉はあったが、その度に、①内外無差別②透明性の確保③イコールフッティングーの必要性が叫ばれ、改善されて来た。日本市場は、米国が言うほど「閉鎖的ではない」のが実態だ。
日本はもともと「貿易立国」であり、企業は消費者を意識した「売れる商品」作りに力を入れて来た。米国はそうではない。製品が売れないのは、関税や非関税障壁のためだとし、相手国に責任を転嫁して来た経緯がある。例えば、自動車の関税については日本はゼロだが、米国は2、5%課している。「不公平」なのはどっちだ。米国は、まず自ら売る努力をすることが先決であろう。トランプ氏は、そのことが全く分かっていない。
by everyoung
| 2018-11-09 11:21
| 言いたい放題
|
Comments(0)