2019年 03月 26日
ウヤムヤに |
米国のトランプ政権を揺るがしている「ロシア疑惑」について、バー司法長官は、マラー特別検査官による捜査報告書の「主要な結論」を、書簡で議会に報告した。はっきりしないところもあり、「灰色決着」的色彩が強い。
マラー氏は、複数のロシア関係者から、トランプ陣営を支援する申し入れがあったが、「ロシアとトランプ陣営との共謀は見つからなかった」と結論。トランプ氏の「司法妨害」に関しても、「大統領が罪を犯したとの証拠は不十分で、結論は出さないが、潔白だとするものではない」とし、白黒を付ける判断を見送った。
大統領選でのロシアの介入疑惑として問題視されていたのは、①ロシアのネット企業が偽情報を流し、米国の社会を分断する工作をした②ロシアが、民主党関係のコンピューターにハッカー攻撃を仕掛け、情報を盗んだーなどだ。
司法妨害については、トランプ氏の言動が、司法に影響を与えたかどうかだ。確かに疑惑捜査に当たって、トランプ氏は自己に不利な考えを示した司法長官などのクビを挿げ替えている。これが大統領の本来の権限に基づくものなのかは、直ちには判断できない。
トランプ氏は早速、「ロシアとの結託がなかったことが公表された。司法妨害もしていない。完全に潔白である」と胸を張った。野党の民主党は、直ちに声明を出し、「報告書と資料の全面開示を求める」との見解を表明した。
今回の報告で、少なくとも大統領への弾劾はないとされている。トランプ氏としては、疑惑を早期に払拭して、本来の政権運営に力を入れたいところだろうが、今後の議会運営などに大きなしこりを残すことは間違いない。
ロシアが大統領選に介入したことは事実だが、ロシアにとって何かメリットがあったのかは疑問だ。トランプ政権の誕生を後押ししても、米国の対ロシア戦略が大きく左右されるとは考えにくい。仮に、トランプ自身を籠絡できても、共和党が必ずしも親ロシア路線を支持するとは限らない。
この種の疑惑は、なかなか解明しにくい面がある。日本での「モリカケ疑惑」と同様だ。確実な証拠が示されない限り、追及には限界がある。「忖度」や「蓋然性」だけで、罪をかぶせることができないのは、日米とも同じことだ。
by everyoung
| 2019-03-26 09:38
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