2019年 04月 16日
偉いんだね |
北朝鮮のキムジョンウン労働党委員長が、先ごろ開かれた最高人民会議で憲法を改正、最高代表者になった。国全般を指揮する立場となり、実質的に元首となる。これまでの元首は、最高人民会議の常任委員長であった。これによりキムは、「大統領」的存在となる。
最高人民会議は、世間で言う国会に相当する場だ。もともと、やりたい放題の絶対的な独裁者であり、わざわざ手続きなどを経る必要はない。元首となって、これから何をどうしようとしているのかわからない。
国際制裁により、北朝鮮国内の経済や社会生活は疲弊。内部からも、徐々に批判が高まりつつある。一つ間違えば、キムは自分の命が狙われかねない。独裁色を一段と強め、恐怖政治によるタガの締めを図ったのではないかと推定される。
キムは、相変わらず表向きは強気の姿勢を崩していないが、先のハノイでの米朝首脳会談の決裂で、内心は穏やかではないはずだ。これまでも述べたように、キムがよほどのバカでない限り、非核化の見返りに経済援助を求める方が得であることは承知しているであろう。
北朝鮮の外務省は、「米国の要求に譲歩するつもりはない」と、一応建前を述べているが、ポンペイオ米国務長官は、「非核化は、キムが約束したことだ」と突っぱねている。トランプ米大統領は、交渉を焦らず、「待ち」の姿勢を堅持しているようだ。
放っておいても、米国が特段困るようなことはない。北が糧道を断たれて、いずれ折れて来ざるを得ないと判断している模様だ。痺れを切らしたキムは、「米国が態度を改めれば3回目の米朝会談の用意がある」と発言。しかも「ことし末」までと期限を設け、「忍耐強く米国の勇気ある決断を待つ」と述べた。
期限を設定したことに様々な憶測があるが、米国に対する「脅し」ではなく、自らの限界を示しているとの説がある。制裁による締め付けだけではない。不穏な動きもある。殺害されたキムジョンナムの長男であるハンソルを擁護する「自由朝鮮」の活動だ。
この組織の実態は不明だが、臨時政府の樹立を表明している。マドリードでの北朝鮮大使館襲撃事件にも関与しているとの見方もある。ハンソルの背後には、米国の存在が見え隠れする。
北の出方次第では、キムを亡き者にし、ハンソル政権の樹立を援護することも考えられる。今後の米中間の成り行き次第では、米国がハンソルを親中国政権として容認する可能性もある。窮地に追い込まれているのは、キムの方だ。このところの一連のシグナルは、米国にキムのメンツを立てた「落とし所」を求めているように見える。
by everyoung
| 2019-04-16 10:35
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