2008年 03月 13日
次官の処遇 |
日銀総裁人事がモメている。与党が武藤敏郎副総裁の昇格を提案したのに対し、野党は「財政、金融分離」を盾に反対しているからだ。日銀総裁人事は国会同意が必要で、衆参ねじれ国会で与野党の考え方が違えば成立しないことになる。
武藤氏は、大蔵省で主に主計畑を歩き事務次官まで登り詰めた。ワガハイは、武藤氏が文教担当の主計官当時に接触したことがある。41年組(昭和41年にキャリア入省)には優秀な人材が多いが、武藤氏もそのうちの一人だ。武藤氏は「次官レース」のトップグループを走っていたわけではないが、限りなくそれに近い位置にいた。
「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件など一連の大蔵省不祥事で、同期や周辺のライバルが次々にコケてしまった。武藤氏はすり抜けて生き残り、主計局長を経て最高ポストを占めるにいたった。運に恵まれたとも言える。
大蔵省は、財政と金融の行政権を合わせ持っていた。澄田智氏や平澤貞昭氏などのように一部例外があるものの、次官には主計局長か主税局長のいずれかの経験者が就任するケースがほとんどだった。金融部門のトップは、次官と同格の財務官になるケースがあるが、大部分は外れて天下りとなる。
民間企業なら、社長を2〜3期務めた後は会長、相談役、顧問と退きながらその会社に引き続き貢献していくのが普通だ。なぜか行政府の場合、次官の経験者は政府関係機関のトップに就くのが習わしとなっている。
武藤氏のケースでは、行政府の最高ポストから「同格」であるべき日銀の副総裁に就任した。将来の「総裁含み」であるとしても「格落ち」である。仮に総裁になっても、自らの出身省のトップには後輩が就いている。役人の人事の常識から言えば、日銀の地位はかなり「高い」ことになる。これは実態からみて奇妙である。日銀ばかりではない。他の政府関係機関でも同じことだ。
日銀の総裁として武藤氏を「相応しい」とするならば、武藤氏は事務次官になる前に日銀に行くべきである。日銀にも優秀な人材が多い。ここで「日銀マン」としての経験を積み、抜きん出なければならない。日銀で総裁に就任する頃には、同期が出身省の次官になっているはずだ。これで釣り合いがとれるのだ。
もし、武藤氏が大蔵省にとって不可欠な人材なら、次官退任後も大蔵省(財務省)で任務を全うすべきである。安易に政府関係機関に下るべきではない。政府関係機関は、次官OBにとって待遇が良く、居心地のいい場所だ。出身省庁にも大きな顔ができる。人事の「タライ回し」に他ならない。今回の騒動の根幹は、政府関係機関全体のトップ人事の在り方にある。皮相的な部分で論議をしてもダメである。
武藤氏は、大蔵省で主に主計畑を歩き事務次官まで登り詰めた。ワガハイは、武藤氏が文教担当の主計官当時に接触したことがある。41年組(昭和41年にキャリア入省)には優秀な人材が多いが、武藤氏もそのうちの一人だ。武藤氏は「次官レース」のトップグループを走っていたわけではないが、限りなくそれに近い位置にいた。
「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件など一連の大蔵省不祥事で、同期や周辺のライバルが次々にコケてしまった。武藤氏はすり抜けて生き残り、主計局長を経て最高ポストを占めるにいたった。運に恵まれたとも言える。
大蔵省は、財政と金融の行政権を合わせ持っていた。澄田智氏や平澤貞昭氏などのように一部例外があるものの、次官には主計局長か主税局長のいずれかの経験者が就任するケースがほとんどだった。金融部門のトップは、次官と同格の財務官になるケースがあるが、大部分は外れて天下りとなる。
民間企業なら、社長を2〜3期務めた後は会長、相談役、顧問と退きながらその会社に引き続き貢献していくのが普通だ。なぜか行政府の場合、次官の経験者は政府関係機関のトップに就くのが習わしとなっている。
武藤氏のケースでは、行政府の最高ポストから「同格」であるべき日銀の副総裁に就任した。将来の「総裁含み」であるとしても「格落ち」である。仮に総裁になっても、自らの出身省のトップには後輩が就いている。役人の人事の常識から言えば、日銀の地位はかなり「高い」ことになる。これは実態からみて奇妙である。日銀ばかりではない。他の政府関係機関でも同じことだ。
日銀の総裁として武藤氏を「相応しい」とするならば、武藤氏は事務次官になる前に日銀に行くべきである。日銀にも優秀な人材が多い。ここで「日銀マン」としての経験を積み、抜きん出なければならない。日銀で総裁に就任する頃には、同期が出身省の次官になっているはずだ。これで釣り合いがとれるのだ。
もし、武藤氏が大蔵省にとって不可欠な人材なら、次官退任後も大蔵省(財務省)で任務を全うすべきである。安易に政府関係機関に下るべきではない。政府関係機関は、次官OBにとって待遇が良く、居心地のいい場所だ。出身省庁にも大きな顔ができる。人事の「タライ回し」に他ならない。今回の騒動の根幹は、政府関係機関全体のトップ人事の在り方にある。皮相的な部分で論議をしてもダメである。
by everyoung
| 2008-03-13 11:54
| ハラ立ち日記
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