2008年 08月 10日
組んでなんぼ |
五輪女子柔道で、谷亮子選手が銅メダルを獲った。谷ほどのキャリアであれば、金でなければファンは満足しない。本人はよく頑張っただろうが、銅で終わったのは実力の限界であったかもしれない。
谷は準決勝で「指導ポイント」の差で負けた。柔道が国際化するにつれ、本来の武術とはかけ離れたルールがつくられ、勝敗を巡って常に論議がある。それにしても、谷の負けた試合は柔道ではない。柔道は「組んでなんぼ」の世界だ。組手や指手争いだけでは、犬や猫の喧嘩と同じだ。
柔道の世界で魅力的だったのは、かつての山下泰裕だ。戦績はもちろんのこと、投げ技の切れには鋭いものがあった。同じ時期に斎藤仁がいた。斎藤には力を感じたが、あざやかな投げ技の印象はない。ポイントを重ねて優勢勝ちするより、一本勝ちの方が柔道らしい。谷は山下タイプの柔道家だ。
今回の谷の負けた試合を見ていると、明らかに谷は組むことを避けていた。谷らしさが出てきたのは、致命的になった3回目の「指導」からだ。残りの時間が少なくなって初めて積極的な攻めに転じた。それでも相手に振り回されていた。全体としての評価は「負けて当然」の内容だった。
五輪には魔物が付きものだが、谷のピークは昨年の世界選手権で終わっていた。その後の五輪選考を兼ねたことし4月の全日本体重別選手権では、山岸絵美に惨敗していた。それでも五輪に選ばれたのは、谷の過去の経験や実績だ。それだけでは通用しないことを今回、露呈した。
子育てしながら稽古に励んで来たのは大変なことだ。これを「美談」に仕立てることはできない。ママさん選手は、五輪でも山ほどいる。谷が例外ではない。プライベートな環境と五輪代表とは別問題である。過去の栄光ではなく、現在の実力の方が重要なのだ。
かなりの体力がなければ、今の柔道は無理だ。谷は、体力的にすでに峠を越している。だから相手とがっちり組んだ試合ができない。以前はそうではなかった。ではどうするか。相手が、襟や袖を取りに来る瞬間を狙って技を掛ける。組み際の妙技で勝機を掴むしかない。それが睨み合いの継続となり、敗れる結果となった。
柔道が、ボクシングや空手のように敵との間合いで勝負するようになってはいけない。組んで技を掛け合うのが本来の姿だ。ポイント制の欠陥もあるが、正々堂々と四つに組んで闘うのが基本だ。谷には、それがもうできなくなっている。
谷は準決勝で「指導ポイント」の差で負けた。柔道が国際化するにつれ、本来の武術とはかけ離れたルールがつくられ、勝敗を巡って常に論議がある。それにしても、谷の負けた試合は柔道ではない。柔道は「組んでなんぼ」の世界だ。組手や指手争いだけでは、犬や猫の喧嘩と同じだ。
柔道の世界で魅力的だったのは、かつての山下泰裕だ。戦績はもちろんのこと、投げ技の切れには鋭いものがあった。同じ時期に斎藤仁がいた。斎藤には力を感じたが、あざやかな投げ技の印象はない。ポイントを重ねて優勢勝ちするより、一本勝ちの方が柔道らしい。谷は山下タイプの柔道家だ。
今回の谷の負けた試合を見ていると、明らかに谷は組むことを避けていた。谷らしさが出てきたのは、致命的になった3回目の「指導」からだ。残りの時間が少なくなって初めて積極的な攻めに転じた。それでも相手に振り回されていた。全体としての評価は「負けて当然」の内容だった。
五輪には魔物が付きものだが、谷のピークは昨年の世界選手権で終わっていた。その後の五輪選考を兼ねたことし4月の全日本体重別選手権では、山岸絵美に惨敗していた。それでも五輪に選ばれたのは、谷の過去の経験や実績だ。それだけでは通用しないことを今回、露呈した。
子育てしながら稽古に励んで来たのは大変なことだ。これを「美談」に仕立てることはできない。ママさん選手は、五輪でも山ほどいる。谷が例外ではない。プライベートな環境と五輪代表とは別問題である。過去の栄光ではなく、現在の実力の方が重要なのだ。
かなりの体力がなければ、今の柔道は無理だ。谷は、体力的にすでに峠を越している。だから相手とがっちり組んだ試合ができない。以前はそうではなかった。ではどうするか。相手が、襟や袖を取りに来る瞬間を狙って技を掛ける。組み際の妙技で勝機を掴むしかない。それが睨み合いの継続となり、敗れる結果となった。
柔道が、ボクシングや空手のように敵との間合いで勝負するようになってはいけない。組んで技を掛け合うのが本来の姿だ。ポイント制の欠陥もあるが、正々堂々と四つに組んで闘うのが基本だ。谷には、それがもうできなくなっている。
by everyoung
| 2008-08-10 11:23
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