2008年 09月 26日
希有な存在 |
小泉純一郎元首相が、政界から引退することになった。老いぼれの多い政界にあっては、まだ働き盛りだ。「なぜ」という疑問も多いが、小泉氏の「政治美学」であろう。後継は二男に譲ることになりそうだ。小泉家は代々、政治家が家業である。二男が政界に出れば4世ということになる。
65歳で死亡した父親の跡を継いで、小泉氏が政界進出を決意したのは27歳の時だ。最初の選挙には失敗、初当選は30歳。今の小泉氏は66歳で、亡き父親とほぼ同年令だ。後継の二男・進次郎氏はやはり27歳だ。年齢的に見て「選手交代」は小泉家の家風に則ったものだ。世襲政治家の典型的なパターンだ。
首相の在任期間は5年半に及んだ。戦後3番面の長期政権だ。印象に残る戦後の宰相としては、吉田茂、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘氏がいる。小泉氏の政治手法は従来型とは異なったが、これに並ぶ歴史をつくったと言える。功罪は別として、極めて明解な政治であったことは否定できない。
突然の引退については、さまざまな見方がある。ワガハイは、多少の時期のずれはあったにせよ「予定の行動」だったと推測している。トップの座に連綿とこだわる者が多い中、小泉氏は首相の任期いっぱいを燃焼し、きっぱりと身を引いた。引退後も表舞台に出ることを極力避け、派閥にも戻らなかった。「賞味期限」を自ら悟り、「役割が終わった」としたのは正直なところであろう。
首相在任期間中に、中曽根元首相や宮沢喜一元首相らに「引導」を渡した経緯がある。首相を退任したあとも院政を敷き、政界に影響力を残そうとする者がほとんどだ。小泉氏はそうしなかった。今後は議員を辞めても政治活動を続けていくか、単なる文化人になるかは不明だ。小泉氏の生き様を見ていると、余力をもって身を引き、後は自分の人生を楽しもうというのが本音だろう。
改革を主眼に、「小さな政府」を目指したのが小泉政治の特徴だ。この方向は間違っていない。改革には痛みが伴う。これに我慢しなければ成し遂げることはできない。いかに小泉氏といえども、日本は独裁体制ではない。民主主義国家である。公約数を重視し、どこまで改革の痛みに耐え得るかが課題だったが、志半ばでシナリオが崩れてしまった。
ワガハイが最も評価したいのは、バブルの後始末をやり遂げ、公共投資などの財政出動なしに経済を回復基調に乗せたことだ。経済の成長がなければ何もできない。もちろん、民営化や三位一体、規制緩和、拉致問題など注目すべき点も多いが、評価は分かれている。
病人が、「金がないから病院に行けない」というのはおかしい。それで死ねばおしまいだ。「金を借りても治療して、元気になって借金を返す」のが筋だ。今、日本の経済は病気状態にある。改革はいったん引っ込めて、金をつぎ込んで手当を優先するしかない。小泉路線が変わったのではなく、世の中が変化したのだ。少なくとも一時的にはそれに合わせなければならない。
事後に、あれこれ言うのは無責任なコメンテーターだけでよい。現在置かれている状況を直視し、有効的な政策を打つことが大事だ。与野党から改革路線について総反発を喰らいながら、小泉氏は総括も反論もしていない。これは歴史が答えを出すものだと考えているのかもしれない。
65歳で死亡した父親の跡を継いで、小泉氏が政界進出を決意したのは27歳の時だ。最初の選挙には失敗、初当選は30歳。今の小泉氏は66歳で、亡き父親とほぼ同年令だ。後継の二男・進次郎氏はやはり27歳だ。年齢的に見て「選手交代」は小泉家の家風に則ったものだ。世襲政治家の典型的なパターンだ。
首相の在任期間は5年半に及んだ。戦後3番面の長期政権だ。印象に残る戦後の宰相としては、吉田茂、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘氏がいる。小泉氏の政治手法は従来型とは異なったが、これに並ぶ歴史をつくったと言える。功罪は別として、極めて明解な政治であったことは否定できない。
突然の引退については、さまざまな見方がある。ワガハイは、多少の時期のずれはあったにせよ「予定の行動」だったと推測している。トップの座に連綿とこだわる者が多い中、小泉氏は首相の任期いっぱいを燃焼し、きっぱりと身を引いた。引退後も表舞台に出ることを極力避け、派閥にも戻らなかった。「賞味期限」を自ら悟り、「役割が終わった」としたのは正直なところであろう。
首相在任期間中に、中曽根元首相や宮沢喜一元首相らに「引導」を渡した経緯がある。首相を退任したあとも院政を敷き、政界に影響力を残そうとする者がほとんどだ。小泉氏はそうしなかった。今後は議員を辞めても政治活動を続けていくか、単なる文化人になるかは不明だ。小泉氏の生き様を見ていると、余力をもって身を引き、後は自分の人生を楽しもうというのが本音だろう。
改革を主眼に、「小さな政府」を目指したのが小泉政治の特徴だ。この方向は間違っていない。改革には痛みが伴う。これに我慢しなければ成し遂げることはできない。いかに小泉氏といえども、日本は独裁体制ではない。民主主義国家である。公約数を重視し、どこまで改革の痛みに耐え得るかが課題だったが、志半ばでシナリオが崩れてしまった。
ワガハイが最も評価したいのは、バブルの後始末をやり遂げ、公共投資などの財政出動なしに経済を回復基調に乗せたことだ。経済の成長がなければ何もできない。もちろん、民営化や三位一体、規制緩和、拉致問題など注目すべき点も多いが、評価は分かれている。
病人が、「金がないから病院に行けない」というのはおかしい。それで死ねばおしまいだ。「金を借りても治療して、元気になって借金を返す」のが筋だ。今、日本の経済は病気状態にある。改革はいったん引っ込めて、金をつぎ込んで手当を優先するしかない。小泉路線が変わったのではなく、世の中が変化したのだ。少なくとも一時的にはそれに合わせなければならない。
事後に、あれこれ言うのは無責任なコメンテーターだけでよい。現在置かれている状況を直視し、有効的な政策を打つことが大事だ。与野党から改革路線について総反発を喰らいながら、小泉氏は総括も反論もしていない。これは歴史が答えを出すものだと考えているのかもしれない。
by everyoung
| 2008-09-26 12:24
| 言いたい放題
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