2017年 11月 30日
体質に問題 |
データの改ざん・偽造問題は、神戸製鋼、三菱マテリアルに続いて東レでも発覚した。日本の有力企業で次々に不正が発覚しているが、まだまだ隠されているのではないかと疑わざるを得ない。品質を誇りとする製造業が、裏でインチキをしていたとを恥じるべきだ。
神戸製鋼については先に詳しく取り上げた。(10月「緊張感を持て」参照)。三菱マテリアルと東レはいずれも子会社の仕業だが、親会社としての責任は大きい。三菱マテリアルの子会社である三菱電線で偽造が発覚したのは2月だが、出荷を停止して親会社に報告したのは10月になってからで、さらに1ヶ月経って漸く公表した。
東レの子会社は、16年に偽造情報を把握したが、公表はしなかった。最近になってインターネットで実態がバレて明らかにせざるを得なかったと伝えられている。バレなければ隠し続ける。顧客との相対の問題であり、法律違反ではないというのが隠蔽の主な理由だ。
経団連の会長は現在、榊原定征氏が務めている。東レの相談役でもあり、かつては社長、会長だった。事件があった当時もこの職にあり、直接インチキに関わったわけではないが、監督責任は免れない。
榊原氏は、東レの事件が表沙汰になった後の記者会見で、「発覚した時点で公表するのが原則」との意見を述べているが、言わずもながらのことだ。神戸製鋼や三菱マテリアルの不正が明らかになった際、人ごとのようなコメントをしていたが、何のとこはない。自分の出身母体で、しかも在任中に同じようなことをしていたわけだ。
現場の状況を、いちいちトップが把握するのは無理だ。よほどの重要事項でない限り、経営レベルには報告は届かないし、今回の事件が組織ぐるみであったとも思えない。恐らく現場では、そう違和感なく日常茶飯事のごとく行われていたであろう。
安全性や品質にさほど問題がないとの意識で、データの書き換えをしていただろうが、契約違反であることには間違いない。顧客に対する裏切り行為であり、社会全体として指弾すべきである。
データには誤差がある。許される範囲と意図的に逸脱したケースとは本質的に異なる。商取引においては「フェア」であることが大事だ。目に見えないところで不正を働き、バレなければそのままにする体質に問題がある。このままでは、日本の製造業に対する営々と積み上げて来た信頼は、一瞬にして失墜するかもしれない。
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by everyoung
| 2017-11-30 10:19
| 言いたい放題
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